役職魔王の異世界生活
烏丸 ノート
プロローグ
「あなたの役職は『魔王』です。出来るだけこの街に近づかないで、北の方へ行った所にお城が有りますので、そこで貴方を殺りに来る勇者様をお待ち下さい」
俺は、目の前にいるアサインと呼ばれる少女に満面な笑みに加え粗悪な感じにそう告げられた。
そもそも、ここがどこかと言うと……いわゆる『異世界』と呼ばれるものだ。
そして何故俺がここにいるのか…と言うと分からない。
役職魔王と告げられ俺はその場に立ち尽くしていると……。
「ねぇねぇ、役職決まったー?」
俺をこの酒場に連れてきた子供がいた。
ここに居る理由もわからなかったので尋ねてみる事にした。
「おいガキ、なんで俺はこんな所にいる。目ぇ覚める前の記憶がないんだが」
「んー?べっつにおもいださなくてもいいんじゃな~い?で、職は?」
俺は、ここに来る前の記憶が無い。
部屋でゲームをしてた事までは覚えているのだが、そこからの記憶がすべて消えている。
そして目が覚めた先にコイツが座っていた。「やぁ、こんにちわ。やっと目覚めたかい?」って感じに声をかけてきた。
そしてなにも言わずに俺をこの酒場へと連れてきた。
こいつは俺を職につかせて何がしたかったのかと深々考えていると隣から……
「ねぇってば!君の職は何だったの!?」
「あ、あぁ……魔王らしい、さっさとこの街出て北の方の城行けってさ」
「ま、マモウ?」
俺は気の向くままに、新たな知恵と発明と欲望と憎しみと飢餓に加え戦争を与えてやるのかい?
「魔王だよ、ま・お・う」
「なんだ魔王か、魔王……魔王ねぇ…よし、僕も君に付いてって君の手伝いをして上げるよ!」
よく分からんがなんか上からなのが腹立つ。
まぁいいか。それより魔王……魔王って……折角異世界と呼ばれる場所に来たんだから、勇者になって魔王とか倒したかったけどなぁ~。俺が魔王かよ……
しょんぼりしながらアサインしてくれる酒場から出る。
そんなしょげてる俺に構わずコイツは言う。
「さぁ、北の魔王城の位置は掴めたよ!転移しょうか!」
「は?転移って、ドーユーコト?」
「こっから魔王城まで飛ぶんだよ、じゃあ行くよ!」
俺と一緒に居たガキは、空中に魔法陣のようなものを描き、俺の方を向いた。
「さぁ!僕に捕まって、飛ぶよ!」
俺は言う通りガキの服の裾をつかみ、少し、瞬きをした。
本の一瞬、わずか百ミリ秒の間に起こった転移。目を開けるとそこは、見るからに禍々しく、これぞ魔王城と呼ばれる城だった。
目を丸くしながら城を見る俺にガキは言う。
「名前、まだだったね…僕は『イト』宜しくね、お兄さん」
名前を名乗ったイトに続き俺も名前を名乗る
「俺は
「うん、これから宜しくね♪」
こちらに笑顔を向けて言った……。
そして──
────この会話から二百年。俺は魔王として、この世界を支配した────
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