各地巡の怪異談

禁忌の書 其ノ壱

この話をするにあたって各地巡についてまずは説明していかなければならない。

別に説明したところで彼女の横暴で、わがままで、自分勝手な性格が変わるわけではないが必読項目なので話をさせてもらう。

各地巡はプロである。ひと口にプロと言ってはみたものの世界には様々なプロがいる。技術職のプロ、医術のプロ、その道を極めた者はみんなプロだ。

しかし彼女は世間離れした、変わったものの、である。魑魅魍魎、悪鬼羅刹をぶった斬る解明師。

ある時は噂話集めに没頭し、またある時は悪さをする妖怪を退治する正義のヒーロー。

その実ただの趣味でやっているだけなのだ。

かく言う私、多々良コダマも訳あって彼女の趣味に付き合っている。

毎度毎度とよく面倒事を押し付けてくる人だ。

この間なんかもツチノコ探しで富士の樹海で遭難しかけたこともあった。(もちろんツチノコは捕獲出来た)

こんな危ない事は断りたいところだが彼女には多大なる恩があるためないがしろには出来ないのだ。

悪く言えば奴隷だろう。

私も嫌々ながらも望んでやっていることなのであまり文句を言えたものではないがたまには愚痴だってでるさ。

あ、そろそろ呼び出しの時間じゃないかな？

あの人時間にはうるさいからなあ...

ひき肉にはされたくないのでこの辺りで説明を終わりにさせてもらう。

今度は何をさせられるんだろうか、震えてきた。