ネクストバッターズサークル
スミンズ
1
私は須田
「ここをこう握って、ボールが来たらこう振り抜くんだ。」彼はそう手際良く教えてくれた。彼がそう教えてくれるのが、小学校の頃の私にとってはとても嬉しかった。少年野球という名目上、少女であった私はチームメイトは愚か、監督にさえも良いように扱われなかった。だけど彼、宮木大希だけは違った。少女の私にも、熱心にアドバイスをくれたり、試合でも代打で出たときなどは、ポンと背中を叩いて来て、にかっと笑って「頑張れよ」と言ってきてくれた。私はそんな大希を気がつけばいつも思い出すようになっていた。そしてあの活発さを思い出すたび、内気な方向へと向かう自分の心が、外へと放たれていくような気がした。そう、彼が私を陽気な人間にしてくれた。私はそして、中学にもなるとクラスでもトップのグループの仲に入れるようになっていった。だが、それはただの間違いであったと気がつかされる時が来た。
それは高校の時の話。それはまた、大希によって知らされたことだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます