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「それで、志麻はどんな子がタイプなんだい?」
「えっえ?」
「その子はタイプじゃないんだろう?」
志麻がギョッとした風に常盤さんを見た。そりゃそうかも。父親に面と向かって好きなタイプを言うことなんてそうそうないだろう。
「そ、そうね」
志麻は「んんっ」と整えてから答えた。
「強いて言うなら、普通の人かしら」
「普通?」
「特別恰好良くなくてもいいの」
ふんふん。父親と反対が良いと。
「目も大きくなくていいし、背だってそこそこの高さがあればいいし、お金だって持ってなくてもいい」
まぁ、常盤さん家は金持ちだからそこは気にならないのかも。男の方は大変そうだけど。
「社長じゃなくても、財閥の跡取りじゃなくても、そんな特別はなにもいらないの」
「ほう」
「だから普通でいい。普通の、一般の人でいい。ただ」
ただ?
「わたしの事を好きでいてくれたら」
ほう、ほう。なんとも乙女らしい。今日一番年相応の女の子に見えたぞ。
「志麻は可愛らしいねぇ」
「だってパパはママの事を世界一愛しているでしょう?」
「もちろんさ。世界一なんかじゃ収まらない位にね。宇宙一愛しているよ」
ひゅー。さすが常盤さん、こんな砂糖を吐いてしまいそうなセリフをサラッと言えるなんてかっこいー。
「パパとママみたいになりたいもの」
「はは、大丈夫だよ、志麻は私の子だからね」
ね、花菱君。と常盤さんが言うから頷く。志麻は箱入り娘のわがまま娘って感じ(店での顔しか知らないからかもしれないけど)だけど、家族を大切に思っているし、美味しいものや素敵なものは素直に口に出せる子だから。きっと良い人と結ばれるだろう。悪い奴には絶対に捕まらない気がする。捕まったとしても、その負けん気の強さで乗り越えそう。
結局強いんだよ、女の子は。
「で、私のタイプはマイワイフがドストライクなんだけど、花菱君はどうなの?」
「え?」
「どんな子がタイプ?」
そう言われましても。長いこと仕事が恋人だったもんで。仕方なしに年上で重い子(赤ワインの好み)とだけ笑顔で答えた。
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