君はまだシンデレラ

カゲトモ

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「ねぇ、ちょっと話し聞いてるの?」

「えぇ、もちろんですとも。それで、その男性とは、お付き合いされることになったんですか?」

「ち、違うわよ! ほら全然聞いてないじゃない!」

 もぉ! と腕を組んで黒髪の美少女がそっぽを向いた。彼女のコースターに置かれているのはホットワイン風のノンアルコールカクテルだ。酒が飲めるようになるまであと半年ほどある、某有名大学に通う女子大生だ。

 別にうちの店は未成年出禁でもないけど、なぜ彼女がバーのカウンターに座っているのかと言うと・・・

「はっはっは、志麻にアピールするなんて見る目があるねぇ」

「ま、まぁ、確かにわたしに声を掛けたんだから見る目はあるんだろうけど」

「志麻はママに似て綺麗だからね」

「もう、パパったら」

 彼女の父親が同伴だからだ。この間まで娘が遊んでくれないって泣いていた(泣いてない)のに良かったね、常盤さん!

 ってか、志麻はどんだけ自信持ってんだよ。自分に声を掛けたんだから見る目はあるって、普通言えねぇよ? その自信の持ち方は完全に父親譲りだよな。羨ましい。

「それで、その子はどんな子なんだい」

「えー? どんな子って」

 その子を思い出す様に志麻の目が上を向く。ちらり、と視線を感じたが反応せずにグラスを磨きつつ耳を傍立てた。

「えーっと、なにかの雑誌のモデルをしているとかなんとか言っていたと思う」

 テキトーだな。

「そうかい、じゃぁ格好いいんだね」

「顔はね、お友達はみんなイケメンだって言うわ」

 そりゃモデルしてるくらいだしね。

「志麻はどう思うんだい?」

「確かに整ってはいるわ。目もぱっちりと大きいし」

 と言いつつ俺を見るな。三白眼だって格好いいだろ? 

「まぁわたしはタイプじゃないんだけど」

 へーそうなん。その子残念だな、振られるの確定だ。

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