第167話 退院とその後の焦り
兄は頻繁にお見舞いに来てくれていた。
ゴルフの打ちっぱなしに連れて行ってくれたり焼肉を食べに行ったりした。忙しい中会いに来てくれて有り難く感謝した。
「復帰したらガオの弁当配達から始めれば良いよ」と言われ、まだ見捨てられていないのだと感じた。
僕の退院の日が近づいていた。
僕はお酒を飲むのを中止した。退院の日が来て兄が迎えに来てくれた。
退院後、焦りがありすぐに日の出屋に復帰した。
これがいけなかった。
ガオの新宿エリア六店舗に、二週間に一店舗のペースで出店すると言う。川崎から新宿までの道のりも遠い。
新宿のビルは、お弁当を搬入するのはとても混雑してしかも狭い。出店するたびに苦労した。
六店舗の配達になると時間に追われプレッシャーが強くなった。配達は八百食を越え、僕はプレッシャーに耐えきれず兄に白旗を上げた。
給料も大幅ダウンして五分の一以下になった。
朝になると体が震え起き上がれなくなりガオ担当の佐藤に迷惑をかけた。
車の運転はとても辛かった。
精神病の薬を大量に服薬している為、判断力が著しく低下している自覚があった。
踏切が鳴っているのに侵入したり、矢印の信号機を無視して走ったり、とても危険だと感じた。
ガオの僕の配達しているコースをアルバイトに引き継ぐ事になった。一週間で覚えてもらい、僕は配達から退いた。
僕は日の出屋に出勤出来なくなりまた引きこもりの生活に戻った。
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