第148話 天と地の差
閉鎖病棟で過ごす時間はとても苦痛だ。
毎週、作業療法や映画鑑賞などの行事があったが参加する気力が無かった。閉鎖病棟のフロアを認知症患者の様に徘徊した。
主治医が面接してくれる日が週に一度あり、その日を待っていた。この面接で解放病棟に移れるか決まるのだ。時折この面接が無い週があった。カレンダーを睨みつけ次の面接日を待った。
正月も閉鎖病棟で過ごす事が決まった。
兄は正月に日給研のメンバーと一週間ハワイ旅行に行くと言っていた。
方や精神病院の閉鎖病棟で、もう一方はハワイか。この天と地の差はどこから来るのか?僕はこの屈辱に耐えるしか無い。
食事の時の席は決まっていない。しかしみんな同じ席に暗黙の了解で座っていた。違う席に座ると「そこは私の座る席です。どいて下さい」と言われた。
いつも空いている席は年老いたおばあちゃんの隣だった。
とてもエロチックなおばあちゃんで「もうあそこが濡れてベチョベチョなの。大きいの舐めたいわ。オッパイ舐めて」などと僕の顔を見つめて言うのだ。
どおりでいつもこの席が空いている訳だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます