第124話 コンビ解消

 小野の奥さんが生命保険の営業をしていて、東京ドームの巨人戦チケットを度々貰ってきて兄と三人で見たりした。


 僕は東京ドームが初めてで感動した。神宮球場の巨人戦も見た。


 大口のお客さんから麻雀に誘われ接待した事もある。僕は麻雀が出来ないので小野が打った。このお客さんも取引が決まった。


 全てがうまく行っている様に見えたが、僕は内心危惧していた。僕の足が完治すれば、小野とのコンビは解消しなくてはならない。僕も小野も給料が高い。


僕は再三、小野に注意した。


 「俺の代わりにドライバーを付ける。今の内に道を覚え、自分でドライバーを操り営業出来る様に訓練しろ」と言う僕の言葉を小野は理解していなかった。


 一年で僕の足は完治した。小野とのコンビで新規の顧客を約千食決めていた。


 小野は、助手のドライバーと営業する事になった。


 僕は一人で営業に出かけた。


 僕と言うアドバイザーが隣にいなくなり、小野は試食を取れなくなった。それを横目に僕は試食を取り、新規の顧客を決めていた。


 小野はもう一度、僕とコンビを組みたいと兄に願い出たが聞き入れられない。


 小野は試食0の日が続き結果を出せない。


 僕の足が完治した時点で、小野の役目が終わった気がした。僕の小野へのアドバイス不足もある。小野が結果を出せなかったのは僕の責任かもしれない。


 残念だが小野は自主退職した。

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