第49話 二回戦

 二回戦は翌日行われた。


 僕は、朝早く新聞屋に行き、神奈川新聞を買った。川崎欄に昨日のバスケットの試合結果が載っていた。僕はそれを綺麗に切り抜き、お守り代わりに財布へ入れた。


 今日の相手は神奈川でベスト四に入る強豪の県川崎だ。僕は勝ち負けより公式戦で戦える事が嬉しかった。


 僕は、試合の前に二つの目標を立てた。まずは守りで百点以上失点し無い事。もう一つは二十点以上自分で得点する事。


 試合会場に入ると、県川崎の連中がざわざわした。


「何で川崎商業が来ているんだ?向の丘負けたのかよ」


 僕は嬉しかった。無心で試合に向かった。試合開始のジャンプボールの時、県川崎のコーチが叫んだ。


 「五番と十一番だけマークしろ。楽勝だ!」


 ユニフォームの番号を指した。僕が五番で十一番は原だ。原はバスケット経験者で、スピードがある。


 なぜ県川崎のコーチが僕達を知っていたのかは不明だが僕は夢中で戦った。


 点差はジリジリ離されたが、僕は試合を楽しんでいた。ピーッ!試合終了。結果は八十二対四十五。


守りは百点以下に抑え、僕は二十得点を上げ、目標は達成した。負けはしたが、良いプレーも幾つかあった。


鈴木コーチは不満そうで、みんなに「もっと練習して勝とう」と言った。

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