第42話 対立
僕は、軽い気持ちでパンチパーマをかけた。
これが野本コーチの逆鱗に触れた。練習前「昇!パンチパーマじゃないか。禁止している筈だぞ!すぐに丸刈りにして来い」僕に詰め寄った。
僕が無視すると、野本コーチは「俺が辞めるか、昇が辞めるかだ!全員で話し合って決めろ!」そう言うと立ち去った。
野本コーチの評判は、部員の間では悪かった。
練習も無駄にダッシュさせて「俺がこの煙草を吸い終わるまで走れ」と言い、わざと吸わずに消えるまで放置した。
バスケットの理論は無く、根性論で相手に走り勝つ事を理念とした。特に女癖が悪く、僕達の一つ上の女子部員全員に声をかけ口説いていた。
教室で緊急ミーティングが行われた。
僕は騒動を起こした事をみんなにお詫びした。会議では野本コーチの批判が相次いで出た。
一時間の会議のすえ、全員一致で野本コーチの解任が決まった。
代わりに、去年卒業した鈴木さんにコーチを依頼した。鈴木さんは快諾してくれた。鈴木さんは卒業後、東新電気に入社して、実業団でプレーしてレギュラーになり、活躍していた。
優しい性格で、とても面倒見の良い男だ。
野本コーチが放課後姿を現した。
解任の報告を受けると、肩を落とした。川崎商業にバスケット部の男子を創部したのは野本コーチだった。初期のバスケット部の苦労話をよく聞いていた。
「昇だけは俺の気持ちが分かると思ったのに残念だ」
そう言い残すと野本コーチは校庭を後にした。
鈴木コーチの元、新生バスケット部が始動した。
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