第25話 うなぎ

 日の出食堂の売り上げは、本店も支店も最悪だった。


 親父は支店の焼肉屋に見切りをつけ、フランチャイズチェーンの「大谷うな重」に加盟した。本社が九州にある出来たばかりの会社だ。


 うな重並みで三百九十円。


 支店の内装は手を付けず、看板などの外観だけ改装した。


 足を痛めている僕も仕事にかりだされた。


 うなぎは白焼きの状態で、肝焼きなども冷凍され本部から送られてきた。


 うなぎは中国産だ。


 東京支部から指導係が送られて来て、短期間でうなぎの焼き方などを教わり、僕が焼き場を担当する事になった。


オープンしたての頃は珍しい事もあり、お客さんの入り具合はまずまずだった。


よく「穴子じゃないのか」とからかうお客さんがいて中国産だと言うと納得する顔をした。

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