第14話エルミシアの苦難

私の名前はエルミシア・ティンクル、一応魔法序列8位の世界的に名の知れた魔法師だ


私は全能を追求し続けるために寿命という概念を捨てた、それが14歳の時だ。本当はもっと体が成熟してから成長を止めたかったが当時の私の実力ではそれは叶わず今の少女の体というわけだ


それ故に少し困ってる事も多い。身体が小さいということは肉弾戦では不利になる事もあるし、棚の上にある物はジャンプしないと取ることが出来ない……


そして極めつけは精神年齢の低下だ。普段は大人らしく振舞っているが、これでいて精神年齢も肉体年齢に近くなってしまっている。その違和感は時間が流れるたびに大きくなっていて、どうにか解決法を見つけないといけないと思っている


このように見た目は少女でも私は長生きだ。あと少しで100を超えるが、最近までの25年間は私は他人に憑依され自分の意思で動くことができなかった。色々あって憑依から解放され、晴れて自由の身になったが……


それからだろうか、また体?いや精神にさえも何らかの異常が起きている


憑依から解放された一件以来、スカル・デスギアを見ると妙な動悸に襲われてしまう


この症状は日に日に酷くなっている。特にあいつが学院の新体制についてのプレゼンをした時など、何故かあのだらしない女が凛々しく見え不覚にも見入ってしまった……


「理事長、私の工房のデータ貰えますか?」


そんな事を考えていると、スカルが話しかけてきた。今日は約束通り用意したスカル用の魔術工房の案内をしている


(あわわわ……どうしよう…せっかくあっちから話しかけてくれたんだし、何か気の利いた一言でも…いやぁあ全然思いつかないぃい)


少しの静寂の後、エルミシアが発した言葉は


「貴様の端末にすでに送っておいた。後で確認するといい」


「さすが理事長、仕事が早いですね」


(!……おっと自らの心の中とはいえ、生娘のような事を考えてはいけないな……ふふっ、さすが理事長…かぁ)


自らの思想に対し注意を促していたが、褒められてそんな考えは飛んでしまった


(はぁ……この症状は何が原因なんだ…)


果たしてエルミシアがこの気持ちが年頃の少女がかかる病だと気がつく日が来るのだろうか

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