第17話 砂漠
ベリル王国はアルトノア大陸の西側に位置する、その名の通り、大きなベルのような形をしている。
先祖はルドリア・ベリル一世であり、その奥方つまり、王妃は魔女だったという言い伝えがある。
今となってはそれも本当かどうかは定かではない。
ベリル王国と砂漠の国、デザール国は古くから関係を築いてきた。
それは、ルドリア・ベリル一世がデザール国を遊学していた際に偶々、デザール国の王太子である、カドレア・セル・デザールと出会い、友人となったことがきっかけだ。
その頃、ベリル王国はベリル王国ではなく、カトレア帝国が築かれており、昔の栄華は消え失せ、政治とは到底言えないような政治を行う皇帝だった。
国民は疲弊し、戦をしてもすぐに負けるような有り様。
誰もが、皇帝に不満を持っていた。
だからこそ、その現状を知っていたデザール国の王太子カドレアはベリル一世に内戦を持ちかけた。
このままでは国が国として成り立たず、最悪他国の属国に成り果ててしまう、と。
ベリル一世は毎晩考え続け、覚悟を決める。
3年という長い時間をかけベリル一世はカトレア帝国を滅ぼし、ベリル王国を作り上げた。
それからデザール国とベリル王国は良い関係を築いてきたのである。
そんなデザール国から最近、国交を断たされてしまった。
今まで1度もなかったこの事態に王宮は騒然とした。
しかし、それはベリル王国だけではなく、それまで国交を行っていたほとんどの国が断たされていた。
私は急ぎ情報収集を行い、1つの可能性に突き当たった。
───デザール国では病が蔓延している。
それはあり得ない話ではなかった。
主に食料関係の国交は残し、それ以外は切られていた。
他国に弱味を見せるわけにもいかず、国内で留めようとしているのだろうか。
私はより確かな情報を得るため、側近のカルロスにデザール国潜入を指示。
そのカルロスがイエスと言っている。
私は医療関係者の派遣をするよう指示を出した。
病名は氷結病、と。
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