2-11
それは
だがやはり万能では無い、 能力は「半亜人半獣」の状態から大きく下がる。そして
一度の吸血で人に変身していられるのはおよそ8時間、そのたびに生き血をすって変身し直すしか無い。また一度変身を解くと、吸血しなければ時間内でも変身する事が出来ない。啜る血は生きている人の男から直接でなければならず、油断し立ち回りを誤ればすぐに正体が露見する。このため
こう言った事実は長い戦の日々で
登録の無い集団、個人が不用意に行えば捕らえられ、場合によっては為政者から
しかし、大規模な行政機関の存在しない田舎では「抜け穴」が存在する事は確かだ。
アリアは母配下の
両親、
「
真偽が不明だが、アリアはオライン伯からそんな話を聞いたことがあった。伯は昔、密かに捕らえた
「すると
アリアがその話で身をこわばらせる様子を見て、微笑みながら「冗談だよ」とオライン伯は言い添えたが。その瞳の奥の灯る炎は違った。
恐らくオライン伯は「
アリアはそう感じた、なぜなら「
確かに人は高い能力を発揮はするが、奴隷としての能力や気性を考えれば「反抗」「不服従」と言うコーボルトに存在しない、亜人から見れば「悪癖」を有するからだ。
それを承知で
母に認められ忠誠と引き換えに、能力に見合う待遇を手にした彼女達。そんな手練れの
事故ね!
確率は低いが起こらない訳では無い。アリアは推論しながら、やんわりとした詰問の視線をマリシアスに向ける。
少年は目を泳がせながらシドロモドロに答え始める。
「あ、あのですね、、、」
「確かに、美しい
マリシアスは何と説明するか悩んでいるような、何か上手い言訳がないか知恵を絞っている気配が伺える。
アリアは訝しんだ。事故なら素直にそう言えば少なくとも穏便な解決に持っていけるはずだ。なのになぜ返答に窮する?やはり何か悪意の様なモノがあるのだろうか?垣間見た姿とちょっと卑屈な立ち振る舞いはの差異は、状況を考えれば仕方ないと感じるが、オライン伯の様に計算されたモノを見抜けないだけなのだろうか?
わざと「道化」演じている?
だとしても目的がつかめない。アリアは「確信」は誤認だったのだろうかと思いはじめた。マリシアスの態度に徐々に不信感が募る。
アリアは城全体の気配を一瞥した。何か見える訳では無いが、特にざわついた様子や警報の様な鐘、ラッパと言ったものも聞こえない。
側仕えはこの時間のアリアのスケジュールを前もって把握し、展望バルコニーの庭園ならば「安全な場所」として、一定時間の単独行動に裁量の範囲で承服したのだ。だがその時間も間もなく終わる。アリアには次の予定がある。
そして案内していた
決心する。頭の中で10数えてマリシアスからの説明、納得のいく回答が無ければ「敵」とみなすべきだ。「悪」とは思えないがやはり不審だ。
アリアは自然を装って摺足で立ち位置を変え始める。この謎過ぎるマリシアスから逃げる準備だ。
その刹那、マリシアスが動いた。
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