青春野球部
花飛鳥
序章:終わりなき戦歴
中二の俺達の熱い青春はここからもう始まっていた。海道中との試合。
熱い血戦を繰り広げ、7イニング2対2の同点でタイブレイクになり、結果は奇しくも
4対3で負け。悔しい想いをしたが、そこには今までにない勇気と仲間を思いやる心が
芽生えた試合となった。
『俺達はまだ、まだやらなければならないことがある。』
俺、霧雨 渓斗(きりさめけいと)は、そう思った。
『この中学時代でやっていくんだ、運命の野球を。』
グラウンドに転がっているボールを拾い上げ、強く握りしめる。ボールは硬い。
だが、ただ硬いだけではない。俺には分かる、このボールの重さを。卒業していった
先輩達の苦念の想い、喜び、さまざまな想いの塊のそれを、俺達は必死で投げ、取り
そうボールと会話しているのだ。少なくとも、俺は思っている、ボールと会話していると
。今のボールだけではない、ベースもベンチもだ。全て先輩達の想いが染み込んでいる。
オレンジ色の夕日が眩しい、他の運動部の掛け声が響きわっている。俺はふと疑問に思う
、グラウンドには俺以外野球部が居ないのだ。
「・・・、待てよ、・・・あっ、今日部活休みだった。」
俺は自分で自分を笑ってしまう。 休みっておい・・・、 まぁこれが俺ならではなのかも
知れない。昨日言われた先生からの言葉が忘れたくても忘れられない。今だまだ、
頭の中を反響する。
※ ※ ※
「霧雨君、職員室で先生が呼んでるよ。」
友達の川島 天馬(かわしまてんま)が部活が終わってすぐ呼びに来た。
「本当か?すぐ行くわ。」
俺は汗臭いユニフォームから制服に着替え職員室に向かう。途中、先輩から
『何かやらかしたのか?』
と聞かれたが急いでたので首を振った。職員室の前につくと、辺りは薄暗くなっているのに気が付く。とりあえず、職員室に入るべく、
「野球部の霧雨です、先生居ますか?」
と聞くと、先生がこっちに来いと手を振っていた。とりあえず俺は先生の横に行くと、
先生が口を開いた。
「霧雨ーっ、お前、キャプテンやってくれねぇーか?」
その時、俺の頭の中は真っ白になり、`キャプテン´と言うその言葉の重さに心が討たれる。
「俺でいいんですか?」
俺は先生聞く。それが野暮なのは百も承知だ、だが聞くと先生はいった。
「先輩からの推薦だからな。頑張ってくれよ、キャプテン。」
※ ※ ※
今でも俺は思う。
『俺が引っ張って行くんだ、この日向中の戦歴とともに。』
と。
青春野球部 花飛鳥 @kikumaru428
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