カッコヨクヤル

野々下 勝也

第1話 ハジメ

 秋晴れした空の下、時々吹く寒々とした風に身を強張らせて、いつもの場所で一服。

 一際冷たい風が吹いて、何か羽織って来れば良かったと思うが、こんな寒さを凌げる物を持っていないと思う。


 たまに見かける部活動か何かで外を走っている学生を見て思う。


「よくやるよな」


 学生時代は何かにかこつけて、体力づくりと称してよく、走らされたものだが本当についているものなのかね。

 いや、そりゃあ、続けてれば体力づくりにはなるだろうけど、効率的とは言い難いのではないんじゃないか?いやいや、やって動かしきれていない体を、気休め程度の運動でどーにかなるわけがない。むしろ、いやいやだから、体育に対する印象ガタ落ちだ。

 体力なんざぁ欲しい時につけるに限る。

 体力バカなんて、ただの当たらない弾丸だ。

 …上手いこと言ったな!


 そんなこんなつまらない思考しながら、空を見上げ誰も答えなど投げかけてこない休憩が一番心地よい。


 これで金がもう少しあればな…

 こういうのを神様にでも愚痴り続けたら、どうにかして来れないもんか…

 と、夢見がちになりふと、右手の時計を見て、めんどくさい事に取り組まないといけない空間に戻らないと行けないと思い、顔が渋る。


 なんだかんだ言って、自分もいやいや、効率の悪いことをしているものだ。M気質なのか…ドのつくMでは、ないことを神様にでも祈ったほうが良いかもな。


 こんな現実逃避をしたって、何も変わらないのにな。

 続けたって変わらないかもしれないのに…


「…よくやる」

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