少女の過去編-囚われ、壊された毎日-
ドーナツパンダ
第一章「彼の好意、私の悪意」
あの日々は、地獄だった。
彼を愛してしまった日から、私は死んでいた。
どんなに叫んでも、泣いても、届かぬこの涙の跡を証に、私は自殺までしようと考えてた。
彼の声のと数々の行為のせいで、私は重い病気にかかった。
記憶喪失したらいいのに。
感情を無くしたらいいのに。
今日で、監禁されて一ヶ月が経った。
「おはよ…。穂香」
「…おはようございます。和誠さん」
「まだ耐えられるとは…。君は凄いよ」
「君は俺の女だ。俺以外の誰一人も愛していけない…」
また、薬を注入され、毎日の恒例事情が…。
「んっんあ…。嫌…!!やめて下さい」
「なんだ?俺のこと嫌いなのか?」
「嫌いです。大嫌いです」
「そっか…。ならこうするしかないな…」
「…なっ何をするんですか?」
「まだ処女だろ?なら、俺がありがたくもらってやるよ。喜べ」
和誠がズボンのチャックを下へ下ろした。
「それだけは…!!」
「なんだ?まさか…『心の準備が、まだできてませんので、後日にしても…』とかって考えてるのか?お見通しだぞ」
「なんで、犯罪なんかするんですか?」
「は?お前…大丈夫か?」
「大丈夫です。和誠さん」
「おいおい。俺が、お前のこと好きなのは分かってるだろ?そろそろ認めろよ…」
ハアッ大きく溜息をしながら、和誠は穂香の服の後ろのリボンを解いていった。
ものすごく抵抗したい。だけど、穂香は、数々の薬のせいで、動くことすら難しかった。
「嫌だ。や…やめて下さい」
「穂香、無駄だ」
和誠は、カッターの跡の数々が刻まれた純白のワンピースを無理矢理脱がせた。
「穂香。無理矢理でも…お前は、いつか俺に惚れるよ」
自信満々な顔。冷酷な眼差し。
いつかは、彼を愛してしまうのだろうか。
分からない。知りたくもない。
このまま、この命が消されたとしても…。
「もう…いっそのこと、私を殺してください」
「なんでだ?お前を生き残させた方がいいと思ってるんだが…」
「昔、誘拐して監禁した彼女たちは、どこに埋めたんですか?」
「ああっあいつらか。さあな…!!」
「きゃっ」
穂香の真っ黒な長い髪をそっと優しく、時には乱暴に触れた。
「穂香。お前…俺のことを愛してるんだろ?そうだろ?」
穂香は、和誠に強く平手打ちされた。酷く、痛く感じる。今にでも、涙が出そうになった。
「和誠さん…!!」
「和誠?誰だ?そいつは…?」
「え?」
(そいつ…?どういうこと?)
「なんだ?俺は、アレクだ」
「アレク?和誠さんじゃないんですか?」
「あー!和誠?そいつも酷い男だが…、俺はそいつより更に酷い男だ」
「なんで?なんで…?」
「穂香さん」
「嫌だ、来ないで…!!!」
暗闇に包まれた光が、徐々に消えていき、微かな温もりを感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます