彼女が失うもの
周 おと
プロローグ
彼女___
僕との最初の出会いを覚えていないだろう。
…
当時から、一般的な男子高校生よりかなり読書に情熱を傾けていた僕は、読んでいた文芸誌ではじまったばかりの小説賞の大賞受賞者が自分の高校にいるらしいという噂を読書仲間から聞いていた。
衝撃だった。
小説賞は始まったばかりということもあってささやかな規模だったけれど、大賞をかっさらったその小説はあまりに自分好みで、
きっとこの小説を好きになる人は世界にたくさんいるだろうと容易に想像がついて、
これを書く人間が、同じ高校にいるだって?
さらに驚くべきことに同学年、となりのクラスにいたその小説の作者こそ
佐伯奏美、その人だったんだ。
______
廊下から教室を覗き込んで、
あの物語を書いた君を探していた。
それが彼女の知らない
僕と彼女の最初の出会い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます