4-2.ホウレンソウ

「ユウタってのは紗紀子にも番号訊いてきたんじゃないの? もしや」

 絵美の鋭い突っ込みに私は重く頷く。隠したっていいことないからね。

「やってくれるなー。ユウタ」

 ぐふふふ、と笑う絵美の隣で、幹事の静香がうーんと唸る。


「確かに彼って職場でもちょっとノリが軽いかも。けど仕事はちゃんとこなすし悪い子ではないと思うよ」

 ほうほう。

「ジュンヤくんはね、ほんとに良い子。学生受けも先生受けもいいよ。明るいからね」


 ちなみに今日集まったのは、女子サイドは高校の同級生メンバー。

 男子サイドは静香の職場であるN大の事務職勤務の皆さまだ。キョウスケさんだけは少し違って、実験に使う薬品会社の営業さんだそうな。


「絵美ちゃんといい感じだったね。ジュンヤくん」

 ほわほわと詩織が言う。絵美もまんざらでもなさそうだ。

 私も、あの子は絵美と合いそうだと思っていた。

 ハンドルキーパーだと言ってお酒を飲まない彼に「偉いね」と声をかけると「実は飲めないんです」と笑っていた。「シラフで酔えるから大丈夫っすよ」と言って盛り上げ役になっていた。

 目端が利いて気遣いができている。女の子の扱いも上手だ。はすっぱな口をきいてはいても、実は乙女な絵美と合う気がする。

 考えていたら詩織と目が合った。思ってることは同じらしい。


「となると、コウジくんはノーマーク?」

「ねえ」

 色白の童顔でいちばん年下のように見えたコウジくんが、実は同い年だと静香から聞いて、みんながのけぞる。

「なんか読めない感じの人だね」

「可もなく不可もなく? 真面目そうではあるんじゃない?」

「そうだねえ……職場でも影が薄いかな。同級生だから話しやすいと思ったんだけど」


 首をひねりつつ静香が明るく言う。

「地元民だからコウジくんだったらまた違うメンバー集めてくれるってよ」

「それはいいかも」

「セッティングしてみる」

「静香タイヘンじゃない?」

「いいさー。私も出会いが欲しいもん」

「コウジくんは駄目なの?」

「いやァ。ちょっと結構」

 人気ないなあ。コウジ。


「理沙はどうなのさ? ユウタくん」

「んー、嫌いじゃないかな」

 ちょっとめんどくさいタイプの理沙の言い方に、私たちはこっそり目配せし合う。

「彼も友だち多いから言ってくれればいつでもって」

「じゃあ理沙はユウタくんとやり取りしてみなよ。そんで飲み会やるなら声かけて」

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