不死身の魔法使いと10歳の見習い魔女

花ノ壱

~プロローグ~

第1話 はじまりの涙

 この世界は七つの大陸とそこを支配する七つの国、そして「覚醒」することによって選ばれたほんの一部の人間だけが使える『魔法』が存在した。


 覚醒したその者たちは、男を「魔法使い」 女を「魔女」とし、

 総称して『魔力を持つ血統ウィザーズ・ブラッド』と呼ばれた。


――――そんな世界のとある場所である日、魔法使いと魔女の夫婦の間に一人の女の子が生まれた


「オギャ~! オギャ~!」


 しかしその女の子は、生後一か月たたずして、今後の人生を大きく左右するであろう運命に直面する。


「……シー、ごめ…ね……」


「では、本当にいいんですね? この子の『魔力』を完全に封印します。もしかしたら、もう二度と魔法を使えることは出来ないかもしれません」


 その場にいたもう一人の魔女はそう言った。


「……はい」


 力なく答えた母親の頬をつたった涙は、そのまま床に落ちて消えた。

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