な逆(なろうテンプレの逆しか書かない小説)

@tiojobtzp

最終回 カビパラに轢かれて死んだ




たった今、カビパラに轢かれて私は死んだ。




いや。正確には違う。

道端でつまづいて一度死んだ後、偶然トラックが衝突してショックで生き返った。

その後、子カビパラに時速4km/hで轢かれて死んだ。これが正しい。





おかしい。こんな事はありえない。



私は、率直に言えばスーパーエリートで金持ちで宇宙最強で美人だ。


魔法は、基礎のメラとファイアとグラビデとあと、多重影分身、卍解もいける。もちろんかめはめ波だっていける。


生まれた時に、体がプラチナでできていて、誕生のショックで地球上に存在していた5兆人の魔王が死んだ。


フォロワーは87兆人、インスタは美術館で常に展示されている。


歩いた後に花が咲き、石油が噴出し、∞km/hで移動できて、9873938372京個の能力と、釈迦とキリストとアッラーという名の弟子がいる。もちろん、ピアノ、ベース、ドラム、カホン、鍵盤ハーモニカ、日本語ラップから和太鼓も全て同時にこなせる。


そして安定感のあるボディブローと中盤からのトップサイドの切り込み、終盤での長打力、その全てに定評がある。なおかつ私が生まれた瞬間にこの世の美の基準が変わった。


そして優しい。毎日バラに花をやり、雨ざらしの子猫を助け、助けた子猫が5万匹を超えた時点で子猫たちは独立国を建設し、もちろん裏から私がゲリラ戦への適切なアドバイス、そして中盤からのトップサイドの切り込み方を教えた。



つまり凄い。超すごいのだ。




けど、死んだ。





カビパラに轢かれて、死んだ。






きっとおそらく、今から転生する。天使が来る。手違いでこの能力のまま、転生されてしまう。さて、どうしたものかー。





「おい。」



声が聞こえる。来た。転生だ。天使かな?どんな天使かな?




「天使じゃねーよ。」



違った。天使ではなく、割と大きめのチワワだった。





「んじゃ、手続き。やっちゃおうか。」



チワワがいう。しっぽがぷるぷるしてて、かわいい。

さて、どこの世界に転生されるのだろうか。




「お前には、人並み以下に生まれた後、これから毎日、一つずつ失ってもらう。」




え?




目がウルウルしている。かわいい。真っ暗な死後の世界にもかかわらず、相変わらず私の後ろでは石油が噴出していた。





「これから、失うことになる。」





石油が、ドロリと黒い色に変わった。

私に、ぬるりとかかる。





「あ。」




まばゆい光につつまれるー、と思ったが、何故かドアップのニコラスケイジが私の視界をつつみーーー。世界が変わっていくのを感じた。





私は、これから、失っていくことになる。







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