135冊目 浮気じゃなくて全員本気

 どうも、吾輩です。

 あなたの嫁は、何人?


 最近すっかり「推し」にとってかわられた感があるが、かつては好きなキャラを「嫁」というのが鉄板であった。男性オタクはもちろんのこと、腐女子も好きな男性キャラを「夫」ではなく「嫁」と呼んでいた(※1)。夢女子の方はちょっとわからない。


 この「嫁」についてだが、みんなスタンスが違って面白い。

 1作品につきひとりじゃないと浮気だからダメ、と心に決めている人もいる。今はまっているジャンルで一番好きなコが嫁で、次のジャンルに行ったら別のコが嫁になり、先妻をすっぱり切る人もいる。今の嫁が一番かわいいけれど、たまに先妻の様子を見に行って(※2)愛でる人もいる。


 吾輩は、最高に不誠実なスタンスである。


 まず絶対的な正妻がいる。このエッセイでも何度か言及したが、ゴシック・ホラーの金字塔「吸血鬼ドラキュラ」のドラキュラ伯爵だ。単純に作品としてもキャラクターとしても好きだし、やおい妄想のネタにさせていただいたこともかなりある。

 そして漫画アニメゲーム小説その他、いろんなものにハマっては次々と嫁を連れてくる。歴代の嫁、もとい側室は外見も職業も種族も様々だ。人間、魔族、妖怪、改造人間、邪神、エトセトラ。ときには1つの作品に複数の嫁を見出し、「誰くんが最萌で、誰くんと誰くんが次席の萌え」みたいに作品内に嫁ピラミッドが存在したりする。そしてとっくに忘れたと思ったジャンルでも、何かのきっかけでふと思い出しては、いつかの嫁の様子を見に行って、not foundの嵐(※3)にさらわれてしんどくなるのだ。

 一度嫁にしたら優先順位はあれど最後まで嫁。

 つまり、常に膨大な数の側室を抱えているわけである。

 なんて不誠実な野郎なんだ。女だけど。


 ここでタイトルを回収するが、吾輩は各嫁と浮気をしているつもりはない。全員本気のお付き合いである。すげえ言い訳くさいが、好きを自覚したその時は少なくとも本気も本気、超本気なのである。


 ほかにもこういう方がいると信じている。

 じゃないと吾輩がただのクズだから……!

 というところで本日はお開きである。

 

※1 腐女子も「嫁」と呼んでいた


 「〇〇くんは俺の嫁!」という場合もあるし、お気に入りCPについて「受けちゃんは攻めくんの嫁」のように表現したりする。後者はまだ健在か。


※2 先妻の様子を見に行く

 先妻を扱っている二次創作サイトをまた探してみたり、SNSに作品がないか検索したりする。

 まだ作品が続いているなら公式もチェックする。


※3 not foundの嵐

 個人サイトは閉鎖するもの。

 覚悟をしていても悲しい。

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