130冊目 映画「ヴェノム」から考えた身体の同居人について

 どうも、吾輩です。引き続き映画回。

 珍しく話題の映画を観に行ってきました。


 あれ観に行ってきた人みんな「ヴェノムちゃん」って言いだすんだよねと先輩が言っていた。なんかわかる。

 映画の内容を知らない方にもわかるようざっくり説明しよう。落ち目のジャーナリスト、エディ・ブロックの肉体に宇宙から来た生命体(こいつがヴェノムである)が入り込み、いろいろあって肉体的にも精神的にも共生関係を構築していくハートフルなアクション映画である。


 一つの身体に同居する二人というのは魅力的なテーマである。ヴェノムは実際に質量があるので外に出てくることもあるが、たいていの「同居人」は姿を見せず内側から語りかけてくるものだ。同居人はヴェノムのようにわかりやすい人外の存在であったり、憑りついた幽霊であったり、あるいは別人格だったりする。

 ホラーやサスペンスに振り分けられる作品の場合、同居人が体の主導権を持ったとき主人公の記憶がなくなったり、意識はあっても指をくわえて見ている(?)ことしかできなかったりと、同居人が一方的に好きにやっている傾向を強く感じる。古典も古典だが、「ジキル博士とハイド氏(※)」がその典型だろう。


 だが、それこそヴェノムのように対話可能な同居人の場合はどうだろうか。最初はなんだかんだあったとしても、友好的な関係を築くことも不可能ではない。仲良くなったらなったで、文字通り「外部」の人間に気づかれずにやっていかなければならないという制約も生まれる。それはそれで素敵なドラマができる。いいことだ。


 また同居人ではなくても、「姿のないの相棒」なんてのもそそるものがある。困ったときに的確なアドバイスを、電話やメールでくれる頼れるパートナー。

 彼/彼女が実在する保証、どこにありますか?


 てなところで今回はここまで。

 

※ ジキル博士とハイド氏

 実は「薬で別人格を作ろう!」というなかなか変化球な話なのだが、そこまで知っている人は少ない気がする。

 あと人格が変わると外見も激変する。

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