129冊目 映画「アンチヴァイラル」の倒錯的エモーション

 どうも、吾輩です。

 カクヨムの「カク」側の方なら当然ご存知でしょうが、連作や長編の場合「どの話のPV数が1番多かったか」を見ることができます。

 んで、わが作品の場合、意外にも……43冊目 ラストハウスオンザレフトが萌え映画すぎる件、のPVが多いのです。あろうことか、1冊目をぶっこ抜く勢いで。


 カクヨム民……映画好き率、高いんですかね?

 それとも、その回の文字数が多いから、ボリューミーなエッセイが読みたいなってことで集中しているんでしょうか。

 まぁ、どっちでもいいですなぁ。

 比較的ボリューミーになりそうな、映画にまつわるエッセイ書きます。ただし吾輩の好きな映画のあれこれなので、万人向きではありません。

 お暇な方はお付き合いください。ぺこり。


 タイトル通り「アンチヴァイラル」という映画について話をさせていただきたい。


 簡単に言うと、色素が薄くてそばかすだらけ(※1)のイケメン(もっぱら黒スーツ)が感染症で衰弱したり暴漢にひどい扱いされたり監禁されてモルモットにされかけたりする話である。


 タイトルに「エモーション」とつけた通り、この映画は非常にエモい。設定からしてエモすぎる。以下の説明は勘違いもいっぱい含まれているとおもうので、詳しくは本編を見てほしい。


 舞台は近未来。テレビで話題のセレブが病気になったらたとえ単なる風邪でもウィルスを採取、培養して希望者に打ち込み「〇〇と同じ病気にかかった」と喜ばせるのが主人公、シドの所属する会社のお仕事である。病気のみならず、セレブの体組織からつくった人工肉が肉屋で売られていたりする。それをファンたちが買い求めて、おそらく自宅で調理して、食べて、「ひとつになった」ことを夢想するんだろうなぁ。おお、怖い。そしてエモい。


 エモいといえばもうひとつ、外せないのが画面の色彩であろう。

 主人公を「色素が薄い」と表現したが、彼を取り巻く世界もどことなく色素が薄いというか……そうだ。彩度が低いんだ’(※2)。その彩度が低い陰鬱たる雰囲気の中で、彼が口にしているのはタバコではない。

 体温計だ。

 これもエモさを増す小道具であろう。話が進むにつれシドの体調は悪化する一方で、ついには杖をついて歩いていたりする。


 嗚呼、エモい!


 しかし最高にエモいのはラストシーンであろう。

 下手な濡れ場よりぞくぞくくる甘美な終末。

 ただ、このシーンだけ見せられたのではいまいち興奮できそうにない。この映画の最初から最後までに及ぶエモさの蓄積が、ラストシーンをたまらなく淫靡に見せている。

 

 とにかく、だ。

 みんな、アンチヴァイラル観よ?

 


※1 そばかすだらけ

 脱ぐと背中や腕にもある。たまらねぇ。


※2 彩度が低い

 全体的に灰色っぽい、くらいに思っていただければ。

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