126冊目 強者の表現

 どうも、吾輩です。

 わからないことがわかった!(※)となるアレです。


 先日、悪友へびやまくんと遊ぶ機会があり、洋裁の話になった。

 忘れている/読んでいない方もいるであろうが、吾輩、けっこうミシン使える。対するへびやまくんの洋裁経験は家庭科の授業オンリー。

 そんな状態で初心者向け洋裁本をぺらぺらしつつ「これどうやって作んの?」という当然の疑問に対して、吾輩の返答はこうであった。


「このくらいなら型紙いらないかな。布に直書きして、じゃくっと切って、ダダダーって縫ったらできるよ」

「お前今すっげー強者目線でモノ言ってるぞ」

「えっ……あっ!」


 そうだ。

 似たようなことをされたこと、ある。

 洋裁ではなく、絵のほうで。

 された、というのは不適切だろう。発信者は吾輩に直接語りかけているわけではないし、吾輩が勝手にそれを見て「わからないことがわかった」状態になっているだけなのだ。


 メイキングで、それはよくおこる。


「ばしゃっと塗ります」

「程よく色を置きます」

「レイヤーを〇〇モードにして、いい感じになるまで透明度を下げます」


 わ か ら ん !


 ばしゃっとってバケツ塗りでいいのか。

 程よくって、どこまでが程よいのだ。

 いい感じって……主観じゃん!


 もちろん個人差はある。

 そのままを見て「ふむふむ」と理解できる、出来てしまう人もいる。

 あるいはすみっこに注釈をたくさんつけてくれて、初心者にもある程度のとっかかりを用意しているメイキングもある。

 だが、作者の主観とよくわからない擬音で説明されていくメイキングというのも、また、存在する。


 その後、懇切丁寧にミシンの使い方を説明したが、お互いにあまり面白くなかったので、なし崩し的に別の話題になった。

 それだけの話。


※ わからないことがわかった

 × 今までわからなかったことが、わかるようになった。

 〇 自分の知識や技術では、理解不可能であるということがわかった。

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