114冊目 あいつは静かにやってくる
どうも、吾輩です。
様々なところに現れては、我々人類を苦しめる強敵。今回はあいつについて書きます。
端的に申し上げると、「あいつ」とは締切である。
創作にかかわらない人々も仕事や宿題の締切に追われることは少なくないだろうが、「納期」とか「提出期限」等と表現され、「締切」と呼ぶのはプロであれアマであれ創作活動をしている人が、原稿の締め切りを指して言う場合が多いと感じている。
では、締め切りの正体とは何であろう?
ここは吾輩が身を置く、同人やアマチュア画家の場合に絞って書こう。
同人作家の場合、印刷所への入稿日が締切となる。紙の同人誌を刷るということは、ほとんどが同人誌即売会に向けた新刊である。いつまでに入稿しないと、このイベントに本が間に合わない……というわけで締切を設定することが多かろう。大きなイベント(コミケとかね)の場合、印刷所が「このイベントに間に合わせるには、この日までに入稿してくださいよ」と締切を提示してくれることもある。
また、コピー本(※1)を作るなら締切は少し長くなる。自宅での製本となるからだ。まとまった時間があれば、部数や装丁にもよるが1日で製本しきることも難しくない。だがこれでも間に合わないときは間に合わないようで「会場で製本しながら頒布した」という猛者もいるようである。
絵の場合は、展示の搬入日が締め切りだ。
展示場所が自分で行ける範囲内なら、直接持っていくから家を出るまでに仕上げればいい(※2)。事実、吾輩も搬入当日に作品を描き上げたことが2回ほどある。
遠方の展示だったり、持ち運ぶのが難しいほど大きい、あるいは重い作品の場合郵送搬入となる。郵便局なり宅配業者などにお願いせねばならないので、締め切りは数日縮まり、送料の負担(※3)もある。
また展示に合わせて、作品のみならず物販も用意するならばさらに時間と労力を取られる。下手すると作品以上に大変だったりする。
で、吾輩が締め切りを守るたちかというと、そうでもあるし、そうでもない。
同人誌即売会や展示会には、当日仕上げになっても何とか間に合わせてきた。ギリギリではなく、数日余裕をもって仕上げることもある。
だが、そういった明確な締切が存在しない場合、話は変わってくる。
画家としてはともかく、同人活動については、現在DL同人でしか活動していない。
DL販売ならイベント関係ないし、いつでもどこでも、原稿データさえあれば発売することができる。なので締切がないのだ。結果「いついつまでに完成したらいいな」というゆるーい気持ちで作品を作り、結局完成しない、しても予定を大幅に超過する、という事態が頻発している。
例えば、今年の9月末ごろに販売する予定だったイラスト集がある。いまだに完成していない。あとカラーページ2枚、表紙、裏表紙、奥付を作れば出来上がるので、なんとか10月中には……と思っているが、あまり自信がない。
出来たらここで報告したい。
自分のためにも周りのためにも、締切はよく守ろう。
ということで本日はここまで。
※1 コピー本
自宅のプリンターやコンビニコピー機などで原稿をコピーし、手製本した同人誌を指す。印刷所に比べて当然クオリティは下がるが、利点も多い。
印刷所に頼むだけのお金がない、少部数だけ刷りたいので印刷所で刷るとコストがかかりすぎる、思い立ったらすぐ作りたいといった場合に役に立つ。
手製本であることの強みを生かし、ハチャメチャ凝った装丁をする人もいる。もはや装丁が本編。
※2 家を出るまでに仕上げればいい
描きあがったとしても画材によっては「乾かない」という問題が発生する。
搬入日にギャラリーでたむろしながら、なかなか来ない作家さんについて「今頃ドライヤーで乾かしてるぞ」なんて軽口を叩いたりすることもしばしば。
実際に「まだ生乾きなんですけど……」と、ビニールをかけた作品を持ってきた作家さんを見たこともある。
乾燥、大事。
※3 送料の負担
基本的には作家が負担。返送のときも着払いとなる。これが結構痛くて、作品サイズや重さにもよるが数千円かかることもある。
勿論展示先が遠ければ遠いほど高い。海外展示していた作品が着払いで返送された際の送料、実に7000円以上!
しかも無職のタイミングで帰ってきた。嗚呼、生活費。
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