第4話 昨日
やっと呼吸が収まってきた。そして、電信柱づたいにへたり込んだ。
よく思い出せ昨日は何かあった 昨日…
『学校かぁ…。』
朝早く、携帯のアラームで起きた。もたもたと準備を始める。
父親はまだ起きていないことを確かめてから、朝ごはんを抜いて家を出た。
学校までは電車で1時間。憂鬱になりながら電車に乗った。
『ふぁ…寝む…。』
あくびをしながら駅に着き、歩くこと40分で学校に着いた。
学校に着くといきなり誰かに飛びつかれた。
『おっはよ~』
『沙南、おはよう。』
笹生 沙南(ささお さな)。同じ高3。
1年生に同じクラスになってからなつかれてしまった。今も同じクラスだ。犬みたいに、人なつっこくて小さい。
バシッ
『痛ッッ!!』
頭を叩かれた。即座に振り返えった。いや、振り返えらなくても分かっていた。
振り返ると背の高い茶髪の男子が1人立って居た。
『おっす!!』
『涼爾痛いでしょッ!!』
織部 涼爾(おりべ りょうじ)。同じ高3で同じクラス。私の彼氏だ。
彼はとてもモテる。
身長も高く、顔も良いのに性格まで面倒見が良く優しいので、男女問わず人気者。
彼から告白されて付き合い始めてまだ1ヶ月。両想いだったから、告白された時は嬉しかった。今とても幸せだなぁと思っていると、誰かぶつかって来た。
吉見 叶(よしみ かなえ)だ。
謝って来ないから、睨みつけると、
『何よ。何かした』
彼女は涼爾が好きなのだ。だから、『彼女』の私が嫌いなのだろう。
最近、やたらとつっかかってきたり、靴を隠すなどの子供染みた嫌がらせをしてきていた。
私は全部無視していたけど。
私は何も言わず、席に着いた。
そのまま、いつもと同じように1日が始まった。
幸せな日々のはずなのになぜか心が満たされない…。
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