第2話 プロローグ 水泡に帰す



どぶん。水しぶきが高く上がった。




僕の体は下へと沈んでいく。

灯りが、色づいている景色が、クリアブルーの波に呑まれながら、ぼんやりと遠のいていく。



いや、遠のいていくのは世界ではなく、紛れも無い僕自身なのかもしれない。


僕は、何も無い暗黒の世界にたどり着くまでに、全てを思い返していた。


僕の身に起こった事、大切な記憶、その全てを、この身と共に海の底に横たえるべく、静かに。







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全てが水泡に帰すとき僕は何を想う @nemunekoko

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