第211話 冬がやってきた。
課題の後には中間テストも待っている。
ここで再び典明との差を見せつけられた。
いや、僕も決して悪い方では無いと思う。
とりあえず絶対評価は何とか全てA評価の範囲内だし。
青葉とは接戦だったけれど合計点ではなんとか勝った。
順位は1番違いで点数は5点違いだったけれど。
典明の奴は、
「2問ミスった」
以上である。
全科目合計しての2問である。
絶対解けそうも無い難問奇問がいくつもある中でのたった2問である。
文句なしの断トツである。
勘弁してくれ。
まあその後は恒例の学生会行事、魚祭りをまたやって。
さすがに2回目だし僕も魔力が大分増えたので特記事項は特になし。
強いて言えば季節のせいか魚の脂ののりが大分良くなっていて、夏より美味しかったくらいだろうか。
これも例によって修&香緒里先輩召喚により一気に片付けた。
更に学生会に関係ないような関係あるような行事を1件、学生会工房で開催。
題して『工作魔法による宝石やアクセサリーの作り方』。
先生はオスカー先輩である。
首謀者はドナとリュビカ。
魔法披露パーティでオスカー先輩がサファイヤやルビーを魔法で作っていたのが気になっていたらしい。
僕経由、更に詩織先輩経由でオスカー先輩に頼み込み。
オスカー先輩は冬休み前の何もない時期ならOKと返事をして。
参加者40名、予想より多数で開催されてしまった。
ドナやリュビカをはじめとする魔法が使える魔法工学科女子の他にも能ヶ谷やらデイブやら、もう1年魔法工学科の半分はいるという感じだ。
当然青葉も典明も僕もしっかり受講。
何故かこっそり香緒里先輩まで受講。
そしてオスカー先輩、教え方がなかなか上手い。
わかりやすい自作テキストやパワーポイントによるスライド。
用意の方も万全だ。
詩織先輩に言わせると、『あれで面倒見はなかなかいいのですよ』との事。
確かにそんな感じだ。
「つまり酸化アルミニウムを濃密な魔力で遊離させて、次第に魔力を下げていけば結晶する訳です。魔力そのものはそんなに大量に必要じゃ無い、問題は密度です。うまく遊離して魔力の中に溶け込んだらもう半分は出来たと……」
授業などとは比べものにはならない位に真剣に皆、聞いている。
講義は人工宝石の作り方だけでは無い。
電子回路基板等の廃材から金を取り出す魔法、更に取り出した金を他の部材で作ったものにコーティングする方法等も。
そして2時間にもわたる濃密な集中講義の後。
その場にいて魔法を使える学生の半分以上が石英系、コランダム系の人工宝石をある程度作れるようになってしまった。
更に酸化チタンを使ったチタニアダイヤなんて代物まで。
ただオスカー先輩の知識と魔力を持ってしても本物のダイヤは難しいそうだ。
あれは魔力による疑似圧力とかではなく、本気の圧力かけが必要らしい。
今現在出来るのは魔技大、魔技高専あわせて3人程度との事。
それでもまあ、講義の内容には全員満足したようだ。
そしてその翌日からはじまった怪現象。
学内の資材庫や大型品ゴミ収集場からアルミの古材がごそっと消えたり。
更に電子部品の廃品がごっそり消えたり。
他にも島内のゴミ捨て場の飲料空き缶が綺麗さっぱり消えたり。
目に隈を作った女子高専生が教室内でじゃらじゃらと赤や青の石の品評会をやっていたり。
まあ色々あった訳だ。
先生方も理由はわかっていたようだけれども
青葉も3日位目に隈があったがまあいいだろう。
そんな感じで冬がやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます