第194話 学祭中の研究室へ
そんな訳で翌日。
朝、屋台をセットした後に取り敢えず20人分の焼飯を作成。
なお焼き飯実演時間は11時30分にしてもらっている。
一通り時間終えて学生会室へ到着したのは9時50分。
既に現役学生会員は全員勢揃いしている。
更におまけで美南先輩に風遊美先輩にジェニー先輩も。
完全に餌付けされている模様だ。
まあ祭りも平日2日目という事で中だるみという感じ。
明日の祝日にむけて一休みというところだし暇なんだろう。
修先輩と香緒里先輩は10時ちょうどにやってきた。
「今日はわらび餅、店内でも時間限定でしか出していない奴。早く食べてくれと言っていたな」
そう注意しなくても瞬殺されるのだけれども。
外側はきなこをまぶしてある。
そして食べてみると最初は弾力を感じるのに、餅部分があっという間に口の中に溶けていく。
そして中に残った粒あんがこれまた美味しい。
なるほど、この口溶けの為にも早く食べてくれと言う訳か。
店内でしか出さないのもそれが理由。
うん、確かにこれも極上だ。
「こんなの並ばないと買えないのに、修先輩達はずるいのです」
「同感ですね。これの為に朝から別列で並んでいる人もいるのに」
朝ここへ来る途中に見た行列はその為だったのか。
甘味屋の列が2種類出来ているから何かと思っていたのだ。
「でもその分ここで還元しているだろ」
「だから今日の午後も明日以降もよろしくなのです」
おいおい、それはそれで特権を乱用していないか?
という訳で本題をちょっと忘れかけたところで。
「そう言えば昨日の書類、見て貰えた?」
と修先輩の方から聞かれる。
「それなんですけれど、後でちょっとご相談いいですか」
「今日も特に用事は入っていないし大丈夫だよ」
という事で、今日は典明同伴お目付役無しで研究室にお邪魔する。
◇◇◇
研究室に入ると典明は早速辺りを色々見ている様子。
「この研究室にも随分ととんでもない工作機械が揃っていますね。こんなの予算で下りるんですか」
「半分は先生個人の私物だね。あの人もパテント持ちで生活に困らないらしいから」
僕は典明程めざとくないから気づかなかったが、言われてみれば学生会の工房以上に怪しい機械が多い。
田奈先生といい、魔法工学科の先生方は金持ちばかりなのか。
まあそれはともかく。
「さて、本題ですけれど。これじゃ修先輩の取り分が少なすぎませんか。この文書をまとめたのも性能試験したのも修先輩です。相当な時間かかったんじゃないですか」
「取り分としてはそんな物だよ。それに僕や等々力分は他の組み合わせで増幅装置を使ってもらう可能性もあるし。
見たとおり、ここは設備が揃っているからさ。その程度の性能試験、放課後1回あれば全部出来るしね。文章なんて頑張れば一晩で書けるし。英語の抄訳部分だけは自信ないから世田谷に添削して貰ったけれど。
他の分野は知らないけれど、少なくともうちの分野では最初に発見した奴が一番偉いんだ。現象さえ知っていれば試験だとか追試だとか考察なんてルーチン作業だしさ。まあそれなりに難しいけれど設備があってある程度の実力があれば誰がやったっていい。でも最初の発見だけは他の誰かがする訳にいかない。だからそれが一番重要、違うかい。
そんな訳で取り分はそれで正しいんだ。もう一人の権利者の等々力もそれで納得しているし」
「あの説明書を一晩で書いたんですか」
典明が本題と違う処に突っ込んでいる。
「何せ高専5年から嫌と言うほどこんな文書を書いたからね。いい加減慣れた。だいたいこの分野なら誰がどんな論文を何時書いたかも覚えているしさ。考察の半分はその引用だし。
何なら魔力の増幅関係だけだけれども、僕がまとめたデータベースあるから使うかい。SQLで管理しているから検索は楽だよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます