番外編その三十二 「違法アップロード」

 秘書さん

「ようやく出版物の違法アップロード問題を国会の場で取り上げることができましたね。まさに各出版社が株主総会をする直前のこのタイミング! 総理の忖度そんたくたまものですね」


 小池さん

「本当よね~、各出版社の無能役員が壇上で株主にフルボッコされる状況を回避できたわね。それに、今まで宗主国様の命令で野党議員が『ざる・ころ問題』を騒ぎ立てていた理由の一つをやっと取りかかれたわ。


 ・自分の国のサーバーに違法アップロードさせれば目本の出版社が弱体化する。

 ・そこを宗主国マネーでコンテンツごと一気に根こそぎ買収! 

 ・そして役に立たない自分たち役員以下編集者は追い出される! 


 今頃になって自身の身の振り方に火がついたから慌てているのよ。今まで知らぬ存ぜぬを通してきた出版業界にも責任の一端はあるわね」


 秘書さん

「そうですね。放送業界でさえ総務省が管轄して、痛くもない腹を探られたくないからBPOという業界団体まで作ったっていうのに、『出版の自由』! 『表現の自由』! を盾にして業界団体作るどころか天下りさえ受け入れませんでしたからね」


 小池さん

「『出版、表現の自由』なんて目本国憲法の傘の下でこそオラつけるお題目みたいなモノよ。出版業界あいつら、目本の憲法や法が憲法九条みたいに海外にまで効果があるウイルスとでも思っているのかしらね。それで今になって管轄”してくれる”省や庁がないって気がついて大慌てしているのよ。仕方ないから国立国会図書館を管轄している国会の場でああ言うしかなかったのよね」


 小池さん

「そもそもここ数年、聖地ビッグサイトで行われる『アニメモト』にしたってさ、漫画原作が数多くあるのに『ネットでの違法閲覧は止めましょう』の啓蒙活動を目本語と”外国語”でどれだけやったのかしらね! あれだけ海外からわざわざ目本まで来てくれているのに。むしろすり寄ってくる邦画、演劇業界をどんどん受け入れて、今ではアニメと名がつきながら、若手俳優の実写ポスターや看板が立ち並ぶ邦画演劇展示会と化している有様よ! 未だ出版業界って映画や演劇業界へのあこがれとみにくいコンプレックスがあるのかしらね!」


 秘書さん

「さも見てきたようなことを言わないで下さい総理。あと、それ以上言うとここの親会社が激怒して我々の存在自体が抹消されてしまいます。……時すでに遅しかもしれませんが」


 小池さん

「もうこうなったら嫌がらせに我が目本も『出版、表現の自由』をお題目にして、各国の指導者や議員のスキャンダルをかき集めて『スキャンダルミュージアム』っていうのを作ろうかしら?」


 秘書さん

「議員のスキャンダルを騒ぐのはマスコミだけで、各国民の間では挨拶にもなりませんよ。むしろサイバー攻撃どころか我が目本へ核攻撃するお題目になってしまいます」


  

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