第七十八話 青田刈り

「子供の人口がどんどん減っている。この先、労働力の確保が難しくなる」

「ええ。今まで私たちは、若者の就職活動に対して受け身すぎたかもしれません」


「攻めの経営を貫くには、一にも二にも人材確保だ」

「でも才能も根性もない人を採用してしまうと、研修にかける時間と費用が無駄になりますよね」


「そう。我が社の新アプローチは、面接を省いて若者の徒労感をぬぐい去り、優秀な人材確保と研修投資軽減を同時に実現する画期的なものだ」

「素晴らしいです。でも、社長」


「うん?」

「草むしりする中学生を観察して、いい子に声をかけるおっさんおばさんは、世間一般には変質者と言われるんですが……」



【おしまい】

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