第8話 モテる男はつらいよ
俺に相談をしてきたこの先輩の名前は梅宮咲良先輩。
梅宮先輩は同じクラスの吉丘結、おっぱいお兄さんに避けられていることに悩み、吉丘のせいで俺に相談してきた。吉丘のせいでな。
「先輩、前にお兄ちゃんがぼっちになった原因は友達との喧嘩って言ってましたよね?それとなにか関係があるんですか?」
5話くらいに、吉丘がお兄さんのことを聞いたと言っていた先輩というのが梅宮先輩だったらしい。だからあんなに詳しかったのか。
「うん、関係あると思う。」
「喧嘩の原因はなんだったんですか?」
「原因は、、、」
【回想】
まだ結がぼっちじゃなかった2年の頃
放課後、結が明日までの課題を終わらせるために教室に残っていると結の友達、久我光弘の彼女が教室にやってきた。彼女は久我を待つからといって彼女も一緒に教室に残った。
「ねぇ吉丘くん、私ね、ずっと吉丘くんのこと気になってたんだ。」
「は?」
結は久我の彼女に言い寄られる。
「久我くんと付き合うことになってたまに吉丘くんとも話すようになったでしょ?最初はなんか話しかけずらい人だなって思ってたんだけど話してみると面白くてすごくいい人だよね。そんなところにどんどん惹かれちゃってさ。」
「そうなんだ。ありがとう。」
「ねぇ、私・・・・吉丘くんのこと好きになっちゃってるのかも・・」
「君は久我の彼女だろ?よくそんなことが言えるね。」
「久我くん、告白してきたときはいいなって思って付き合ってみたけど、付き合ってみたらなんかイメージと違うなーって感じで。なんかやたらメールとかしつこいし、独占欲が強いっていうか。束縛が激しいし、なんかだんだん冷めてきちゃったんだよねぇ。」
「・・・」
「だからさ、もうそろそろ別れようかなって思ってて。それに別れたら吉丘くんのことちゃんと好きになれるから・・・ねぇ吉丘くん私のことどう思ってる?」
「どうも思ってない。」
「じゃあ私のことこれからちょっとでもいいから意識してほしいな。私久我くんと別れるからさ、吉丘くん・・・・付き合ってみない?」
彼女は結の腕に自分の腕を絡めて胸を当ててきた。
だが結はその腕をはらった。
「やめろ。俺はお前を好きになることも付き合うことも絶対にない。でも久我と別れるのは賛成だ。お前といる久我の時間が勿体無い。お前みたいなやつと久我は釣り合わない。」
「酷いこというなぁ・・・でもいいよ久我くんとは釣り合わなくて。だって私は吉丘くんのことずっと好きでいるから・・・」
今度は結に体を寄せてくる。
「好きでいられても困る。だいたい俺は、
ガラッ
教室の扉が開き、そこには久我光弘が立っていた。
「吉丘・・?お前何してんだよ!」
密着した二人を見た久我は、引き離すように結の胸ぐらをつかんでくる。
「ちょっと!久我くんやめてよ!」
「ちがうっ久我!離してくれ!俺は何もしてない!話を聞いてくれ・・!」
久我は結の胸ぐらを離し、結の話を聞く。久我は話を聞き、落ち着きを取り戻すがひどく落ち込んでいる様子だった。
彼女はその場で久我に謝り、結にも謝る。久我は結に謝り、彼女と話したいといって二人は教室から出て行った。そのあと久我は戻ってきて彼女と話し別れたと結に伝えた。こんなに悲しそうな久我を見たことがない、と結は思った。それほど彼女が好きだったのだろう。その日結と久我は一緒に帰った。その時は久我はなんともないというような様子でいつもみたいに笑っていた。
でも内心は彼女にもイラついていたし、彼女の心を無意識に奪っていた結にもイラついていたのだ。結はなにも悪くないとわかっているけれど、苛立ちは治まらなかった。
次の日、結と話したり、結と梅宮が楽しそうに話しているところを見ていたのをきっかけに久我の苛立ちがピークに達した。
久我は梅宮にこう言った。
「昨日こいつ俺の彼女に言い寄ってたんだぜ。しつこくなんども、体も触って。」
「え?」
「は?何言ってんだよお前、昨日ちがうってちゃんと話しただろ?」
「よく人の彼女に手だせるよな~~どう思う梅宮?」
「え、結が?」
梅宮は動揺している。
「おい、俺は言い寄ってない。彼女も言ってただろ。」
「ほんとまさかそんなやつだとは思わなかったよ幻滅だわ。」
「だから・・!俺は何もしてない!言い寄ったりなんかする訳ないだろ!だって俺は・・・!」
言いかけた言葉を久我は知っている、でも結にはその言葉を言えないことも知っている。
「なあ梅宮、お前あいつのこと好きだったよな?」
「え」
「お前も物好きだよなあ。こんなやつのことが好きなんて 。」
「・・・やめて、」
梅宮はみるみるうちに顔が赤くなっていく。自分の想いを想い人の前で唐突に言われ、すごく混乱しているのだ。
「やめたほうがいいぜ。遊ばれてすぐ捨てられるだけだからな。二股とかもされるんじゃないか?でも梅宮ずっと好きだったのにな。残念だな。」
「だまれ」
結は一言呟いた。
「それにあいつ巨乳好きで家でも巨乳もののエロアニメとかばっか見てんだぜ?あ〜だから俺の彼女にも手だしてきたのかな笑笑まじやばいわ笑笑
でもそしたら梅宮はもう、、論外だな笑笑」
梅宮は顔をすごく赤くしながら俯くことしかできない。
「だまれよ!」
「は?なんだよお前、梅宮の」
「だまれっていってんだろ!」
結は久我を殴る。
「何すんだよ!!」
久我も殴り返すが、結もまた殴る。
「おい!何してるんだ!やめなさい!」
先生たちが止めに入り、二人は押さえつけられる。
【回想終わり】
「っていうのが結とその友達の久我くんが喧嘩した理由だよ。最初の、結から言い寄った話が嘘だったことはあとから久我くんを問い詰めて聞いたんだ。」
「・・・まるで殺人事件が起きない週間ワイド劇場だな。なんというか凄まじい。悲惨だ。」
「・・・思ったより複雑ですね。ある意味。」
「そうなんだよね、、あはは。それで結は久我くんとは喧嘩したままなんだ・・。」
「もしかしてクラスの人たちはその現場を見て殴りかかったお兄ちゃんに引いて・・」
「クラスの人たちは訳を話したらわかってくれたんだけど。結の方が周りの人と関わらなくなっちゃって・・多分、友達にあんなことを言われたのがショックなのと、人をあんまり信用できなくなっちゃったのかもしれない。それでひとりでいるんじゃないかな・・」
「なるほど。」
「お兄ちゃんは案外繊細だからなあ。でも、咲良先輩を避ける理由が分かりませんね。仲良かったのに。先輩も信用できなくなっちゃったんですかね。」
「わからない。でもそういうので避けてるんじゃないような気がするんだよね。最初はあたしが結のこと、す、す、す、」
梅宮先輩が顔を真っ赤にしてある言葉を言おうとしている。
「す、す、すごくよいと思ってることを知って、」
言えなかったか。
「その気持ちには答えられないから避けてるのかと思ったから、何度もあのことは気にしたくていいって言ったんだけど、わかったとしか言ってくれなくて全然喋ってくれない。未だに避けられてるよ・・。」
「なんか腹たってきました。訳があるならはっきり言えばいいのに。なんなんだあのおっぱい野郎。」
「まあ怒るなよ吉丘。お兄さんにもいろんな考えがあってそうしてるんだろう。」
「胡桃沢くん、なんかお兄ちゃんにやさしくない?おっぱい仲間だからなのはわかるけどさもっとこう
「おっぱい仲間?」
梅宮先輩はなんのことだかわからないとでも言うように首を傾げている。
「ばっか!・・お前〜、俺とお兄さんが心が通じ合っているぐらい仲がいいことをおっぱい仲間なんて略すなよ〜」
なんとか誤魔化せたか。
吉丘、ほんとあとで覚えてろよ・・
そして俺はひとつだけ許せないことがある。
久我というやつが、『巨乳もののエロアニメとかばっか見てんだぜ?』と言っていた。なに?ダメなんですか?巨乳もののエロアニメばっか見ちゃいけないんですか??俺めっちゃ見てますけどなにか悪いんですか??
巨乳もののエロアニメを侮辱した罪は重いぞ、久我。
「それで先輩、俺にしてほしいことって何ですか?」
「そうだったね!胡桃沢くんにしてほしいことは、結が少しでも人を信用できるようになるのを手伝ってほしいのと、徐々にでいいから人と関わるよう言ってほしい。あと、結があたしのことを避けてる理由を聞いてきてほしいの。あたしが聞いても答えてくれないから・・」
結構盛りだくさんだな。それに最初の難しくないか?俺は心理学の専門家じゃないぞ?人を信用できるようにってどうすりゃいんだよ。
「胡桃沢くんならできそうだね。」
おい吉丘?なんの根拠があって言ってるんだ?
でもそんなことも言ってられない。はやくなんとかしないとお兄さんとたのしくおっぱいができないじゃないか。
「わかりました。できる限りのことはします。」
「私もこのままなのは嫌なので協力します。」
「ありがとう!かなこ!胡桃沢くん!私も諦めないで結に声かけ続けてみるね。」
先輩はホッとした様子でお礼を言って、帰って行った。
「まさかお兄ちゃんがあんなことに巻き込まれていたとはね。そういえば頬に湿布貼って帰ってきたときあったな。相談してほしかった・・。」
「そうだな。」
「うん。」
「あとお兄さんモテるんだな。」
「それ、私も思った。おっぱい野郎なのに。」
「俺もおっぱい野郎だけどモテるぞ。」
「胡桃沢くんはスペックが違いすぎるじゃん。」
おっぱいお兄さんのモテ事情について吉丘と少々語らう。
「じゃあ、行くか。」
「お兄ちゃんのとこに?」
「ばかやろう!ゲームセンターに決まってるじゃないか。」
「えー、ゲーセンかよ〜」
「お兄さんのところに行くのはゲームセンターに行っておっぱいをゲットしてからだ。」
「・・はいはい。」
俺たちはこれからゲームセンターに向かう。
お兄さんとは色々話さないといけないしな。手土産のおっぱいぐらい持っていくべきだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます