　闇の中で観るチューリップとはなんと微妙なものだろうか。

　昼間には咲いていたはずなのだが、今は閉じてしまっている。明るくなれば、また開くだろうけど。

　昼間は暑い、初夏の陽気。

　天候がおかしいとそれに引き摺られるように、草木は季節を間違える。

　毎年四月下旬に花を咲かせるはずの木蓮が咲いてしまった。

　それと引き換えにするように、数日前まで綺麗に咲き誇っていたコブシは最後の花を散らせた。

　花見の予定が色々と狂うが、自然のことだから仕方がない諦めよう。

　今夜は木蓮の花に黒ラベルで乾杯するとしよう。

　実は、チューリップが夜に閉じるのを忘れていたのだ。　

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