春の味
この季節は夜も最高だ。否、ちょっと過ぎたかな?
田んぼの畔を歩けば、ツクシやフキノトウが生えている。少し目を凝らせばノビルもそこら中に生えているのが分かる。
フキノトウはもう無理だろうが、ツクシとノビルはまだ平気だろう。
フライパンに赤味噌を適量入れ、味醂と酒を垂らす。ゴマと唐辛子を加え、適度に加熱する。ゴマはすり潰した方がいいな、じゃないとそのまま出ちゃうからね。
その味噌を携帯できる大きさの容器に入れておく。空いたペットボトルに水道水を詰めたら、お出掛けだ。ああ、布巾やタオルも持っていかないとな。
いい天気だ、夜だけどさ。
外で
幼い頃は屋台で酒を飲むおっさんを不思議に感じたものだが、いざ自分自身が体験するとその良さが実感できた。
寒空の下で呑む燗酒の旨いこと、旨いこと。
今日の肴はノビル。野に生えているものを引っこ抜き、持参した水で洗う。
タオルで綺麗に拭きとったら、これまた持参した味噌をつけてパクリ。
このなんとも表現が難しい風味が好きだ。
私にとって春の味覚といえば、まず思い浮かぶのはコレだな。
幼い頃に幼馴染に教わって食べたのが最初だったと思う。これを私に教えてくれた幼馴染には感謝しなければ。
春の風味で満たされた口を洗うように酒を呑む。
そしてまたノビルを一口で頬張る。その繰り返し。
細かい作業をしながら酒を呑んでいると、さすがに酔いが回る。
その場で少し待てば、寒さで酔いも醒めるだろうが帰るとするかね。
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