第5話「秋山澪の密かな愉しみ」5
◯実家近くのバイク店
店「いやあ、全塗装のサンプルに自分で書いた絵やバイク雑誌の写真持って来るお客さんは多いけど、模型持って来た人は初めてだよ。まあ見てくれ!」
澪「ありがとうございます。
おお!これはっ!うんうんイメージ通りです。素敵です」
店「しかし懐かしい柄だね。お父さんの好み?」
澪「いえ私のです。リアルでは見てないんですけどね」
店「そりゃそうだわな」
澪「今日は持って帰って大丈夫ですか?今夜ちょっと練習したいんで」
店「書類手配は終わってるよ。あとは任意だけど、これお父さんのファミリーバイク特約使えないからね。うちで契約するかい?」
澪「はい、お願い致します」
◯澪父、帰宅。
父「ただいま〜。澪、PCX納車した?」
澪「ガレージに入れてある」
◯裏から父の声
「おおおおおーっ!凄いぞ!」
父(走って戻り)「もうこれ以上泣かせる事、しんといて欲しいわ!」
澪「なんで京極さん?」
◯階段を登る澪。
澪(独)「母と結婚する頃、父が30年ローンで買った建売住宅。二階の私の部屋の隣に"納戸"と呼んでいる6畳がある。両親が、私の弟か妹のために用意した部屋…。今は私の趣味の部屋として有り難く使わせて貰っている。ここには律にも見せた事がない、私の大事な思い出が詰まっている」
◯納戸の鍵を開ける。棚一面に綺麗に塗装されたプラモデル。
澪(独)「父が好きだったせいで小さい時からプラモデルを作って来た。特に父が喜ぶので自動車のが多いな。そのうちカーレースに興味を持ち、父から聞いたり、自分で調べたりするうちに…。あの人に出会った」
◯澪、バイク屋から返却された模型を棚に戻し、階段を降りる。
父「明日明後日は晴れるみたいだ。関東も関西も」
母「本当に乗って帰るの?まあ貴女の性格だから心配はしてないけど」
澪「明日早いから寝るね。パパママ、本当にありがとう。いつも一人っ子は早く大人になるから、甘えっ子にならない。って反論してたけど、今回は甘えさせて貰いました」
◯澪二人とハグする。
父「おお、甘えろ甘えろ!嫁になんか行くなよ!」
母「あなた!それはダメ!本当に気をつけてね(交通事故と溺愛パパに)」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます