六の華

@Watabou

プロローグ

白髪のいかにも老紳士といった体風の男は私に近づくと一礼をし、低く渋い声で話をはじめた。


「こちらの水晶に見える世界には6つの種族が存在しています。それらは互いに助け合い互いを補い合う生活を続けていました。

ヒューマン、エルフ、マーメイド、デーモン

インセクト、スピリット

これらの種族は300年の間争い事を起こさず平穏な日々をおくっていました。

しかし、その平和は突如として塵と化します。一体何が起こったのでしょうか…

では、その過程で紡がれる様々な物語を今から貴方様に見ていただきましょう。」


私は水晶に吸い込まれるような感触と共に、

賑わった市場のような場所に降り立った。


気付くと白髪の老紳士は私の隣に立ってた。

「貴方様はこの世界には存在しないものとなっていますゆえ、物語に干渉することは勿論のこと、人々に話しかけたり触れたりすることはできません。そこをよく理解してこの物語を見てください。」

私は小さく頷くと、老紳士は続けた

「それでは、今から見ていただくのはヒューマンの長の息子の話です。ヒューマンは他の種族と比べた時に、突出した能力はありませんが、努力家な者が多く他の種族とも対等な関係を結べ続けるように日夜訓練に励んでおります。では、軽く説明をした所で物語を御覧にいただきましょう。」

そして、老紳士は思い出したように

「あぁ、あと先程の干渉できないという説明をよく覚えておくように」

と言い残すと、白い光と共に消えてしまった。

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