第27話 27

「確かに闇に落としたはず!? おまえは誰だ!?」

アダイブ・デス・クイーンは現れた白い天使に名前を尋ねてしまう。

「フフフッ。聞かれたからには答えよう。」

自分の出番が回ってきたと得意げな白い天使。

「ある時は山に登るのに、うっかり海に潜ってみたり、ある時は上り電車に乗らなければいけないのに、うっかり下り電車に乗ってしまう。愛されるうっかりキャラクター! うっかりウリエルとは、私のことだ! ワッハッハー!」

手を腰に当てて高々と笑うウリエル。

「・・・知りません。どなたですか?」

「ズコー!?」

アダイブ・デス・クイーンはウリエルを知らなかったので、ズッコケるウリエル。

「言っておくが、私はミハイル、ジブリール、ラビエルと違って、短編で主役になったこともあるんだぞ!」

うっかりウリエル。うっかりだけで話が作れるので汎用性が高く、なんとでも物語が作れる。

「アダイブに、そんなことは関係ありません。」

アダイブ・デス・クイーンには、ウリエルはどうでもよかった。

「そうかい、そうかい。そっちがその気なら、こっちも本気を出そうじゃないか。サリエルの時のようにミステリアスな死、月、邪視の私と違い、天使に戻った私は、・・・高火力タイプでね。」

ウリエルはサリエルの時から、うっかり者である。しかし、ウリエルの言ったことは全てが嘘ではない。

「バカの相手をしている時間はありません。早くアダイブ・シエル様の元へ行かなければ。」

アダイブ・デス・クイーンは自分の周囲に闇を発生させる。今度こそ、ウリエルを闇に葬る気だ。

「フォール・ザ・ダークネス。」

闇がウリエルを襲う。

「うわあ!?」

闇に呑み込まれるウリエル。

「終わりました。」

勝ちを確信したアダイブ・デス・クイーンは、その場から去ろうとする。

「神の炎。神の光。」

その時だった。闇を切り裂く光、闇を焼く炎が現れる。

「な、なに!?」

アダイブ・デス・クイーンは予想外の出来事に動揺する。

「言ったはずだよ。私は高火力だって。」

闇を消し去りウリエルが現れる。

「そ、そんな!? 闇に落としたはずなのに!? なぜ無事なんだ!?」

アダイブ・デス・クイーンはウリエルが理解できなかった。

「それはね。私が天使だからだ。」

堕天使のサリエルの時とは違い、ウリエルは紛れもなく天使の姿をしている。

「今度はこっちの番だ! 神の光と炎を受けてみよ! ゴット・ライト&ファイア!」

ウリエルは神の光と炎を司る天使。ウリエルは光と炎の合わせ技を放つ。

「ギャア!? アダイブ・シエル様!?」

ウリエルの一撃が命中したアダイブ・デス・クイーンは、一瞬で光と炎に呑み込まれて焼き尽くされた。

「あ、うっかり燃やしちゃった。あはは・・・。」

うっかり天使でも、この強さ。ウリエルはアダイブ・デス・クイーンを倒した。


つづく。

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