第26話 26

「私の相手はおまえか。」

サリエルはアダイブ・デス・クイーンと戦うことになった。

「アダイブ・シエル様の邪魔はさせません。」

アダイブ・シエルが生み出したアダイブ・デス・クイーンはアダイブ・シエルに忠誠を誓う。

「悪いが、おまえと遊んでいる時間は無い。倒させてもらうぞ。」

「それは、こちらも同じ。勝った方が応援に駆け付けることができるということです。」

サリエルとアダイブ・デス・クイーンはお互いの立場を理解し、両者は戦闘態勢に入る。

「降り注げ! 月の光よ! ムーンライト!」

サリエルの言葉で空から無数の月の光が矢のように、アダイブ・デス・クイーンに襲い掛かる。

「フォール・ザ・ダークネス。」

平然と構えているアダイブ・デス・クイーンは、降り注ぐ月の光を闇に消し去る。

「そんなのありか!?」

サリエルは月の光が闇に落ちていく様子を見て、反則過ぎて驚く。

「ありです。だって、私は死の女王ヘカテーの血から生まれたアダイブですから。」

アダイブ・デス・クイーンは、アダイブ・シエルが吸ったヘカテーの血から創造された。

「アダイブは何人でも召喚できるのか!? それも卑怯だろ!?」

普段はうっかりウリエルだが、その気軽さがサリエルに良い質問をさせた。

「そんなことはありません。アダイブは、血。血があって、初めてアダイブは想像されるのですから。」

アダイブ誕生の秘密は、血にあった。それ故に吸血天使と言われ、血を吸えば吸うほど強くなっていく。

「まるでシューの剣みたいだな。」

「その通りです。神の血を司る天使エクレアも・・・アダイブなのですから。」

「はあ? 何をバカなことを言ってるんだ。私の邪視であっさり倒してやろう。何て言っても私は神の命令を司る天使なのだから。」

サリエルは神の命令を司る天使でもあり、死を司る天使でもある。

「愚かな。ウォール・ザ・ダークネス。」

今度はアダイブ・デス・クイーンは闇で壁を作り、サリエルの邪視から逃れる。

「またか!? 手品をやってるんじゃないんだぞ!?」

サリエルはアダイブ・デス・クイーンを手強い相手だと感じ始めていた。

「こちらからも行きますよ。あなたは闇に落ちたら帰ってくることができるかしら。ウォール・ザ・ダークネス。」

「うわあ!? しまった!? うっかり落ちる。」

アダイブ・デス・クイーンが作り出した闇に落ちていくサリエル。

「さあ、アダイブ・シエル様の応援に行きましょう。」

アダイブ・デス・クイーンが去って行こうとした時だった。

「おい、私を置いてどこへ行く。」

闇の中から黒い天使のサリエルではなく、白い天使が現れた。


つづく。

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