幸せの花弁
カゲトモ
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「良い日になってよかったわね」
「あぁ、そうだな。風もないし、暖かくて良い日だ」
「梓の結婚式だもん、晴れて当たり前かもね」
「確かに」
梓は晴女で有名で、笑顔が太陽のように輝かしい子だ。
「まさか次が梓だとは思わなかったわよね」
「そうか? まぁ俺たちじゃないとは思っていたけど」
「あら、今は男同士だって結婚できる時代よ?」
「そういう意味じゃねぇよ。恋人いないだろ」
「はなちゃんもね」
「はいはい」
もともと友達の少ない俺だったが、この世界に入ってから同世代の友達が出来ていた。梓はそのうちの一人だ。花屋の娘で、夜の店を相手に商売をしていた。出合ったのはマスターのバーで働いて初めての夏だったと思う。彼女は俺より一つ年下だ。
「梓ってば本当に綺麗になったわよねぇ」
さっきまでまるで温室のようなガラス張りの教会で挙式が行われていた。外のガーデンの緑と色とりどりの花。教会内は白で統一されていて、花嫁と花婿が誓うシーンはまるで絵画のような美しさだった。
綺麗だ。
とそれしか感想が浮かばなくて、バージンロードを二人で歩く姿に昔からの笑顔を見つけると、同じように目を細めた。
「あぁ、昔はもっとアレだったけどな」
「アレだったわねぇ」
「よく貰ってくれる相手が見つかったもんだ」
「言ったら怒るわよ。あれでもなかなかプロポーズされなくて悩んでいたんだから」
「それで自分から行ったんだって?」
「そのことを思うと、やっぱり昔から変わらないわね」
「まったく」
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