世界最強の異能者は決意した。

安芸天聖

プロローグ1

 「2055年、世界総人口の約4割が『異能者』となった。

 それは、何の前触れもなく、ただ突然に起こった。

 これによって、世界各国の科学、医療などが大きく進歩し、発展した。

 しかし、この年から常人では想像もできないような犯罪が世界各国で多発。これらの犯罪は全て異能者によるもので、普通の警察組織では対処が困難になっていった。

 そこで、各国の政府は有志をつのり、『PU』─異能者警察組織を結成し、これら異能犯罪の対処を一任した。」



 そこまで見て俺は、パソコンをシャットダウンした。さすがに眠い。さっきからまぶたがピクピクと体操を始めている。

 外を見るともう朝が来ている。ここの部屋のベランダは東向きについているので、朝日が容赦なく窓から差し込む。浄化されそう。


 よし、風呂に入ろう。俺は朝にも風呂に入る。学校には行ってないが、体は清潔にしときたい。

 俺はゆっくりとホームセンターで40,000円もしたゲームチェアから腰を浮かす。40,000円で本何冊買えただろう。文庫本で50冊ちょいだろうか……いやいや!必要経費だったんだ!親からアホとかバカとか言われたけど、WEB小説家にとっては死活問題なんだよ!くそぉ!


 そう、俺、狩野誠士郎かのうせいしろうは高校1年生(不登校)のWEB小説家である。

 一部の読者様からは神と呼ばれている。つまり大人気なんだよ。ありがとうございます。

 とあるSNSの俺のアカウントのフォロワーは20,000人弱。だからなんだよって思うよね。ただの自慢だし。

 いくつかの出版社から書籍化の誘いも来たが、断った。なんとなく、だけど。


 熱いシャワーを浴びながら、俺は早朝のニュースを思い出す。

 全国の高校の不登校生徒の割合が今年は過去最高だったらしい。ま、俺には全く関係ないけどな!学校なんて、共同生活を強いる檻じゃねぇか。そんな窮屈なところ真っ平御免だね。決して彼女がいないから今のクラスのリア充率に嫌気がさしたのではありません。絶対、そういう浅はかな理由ではありません。


 俺が風呂からあがると、そこには金髪で猫耳の美少女がいるはずもなく、ただ無機質な洗面台の鏡がひょろひょろで頼りない体を映しているだけだった。誰だ、この明らかに不健康な奴。ははは、俺だ。

 バスタオルで雑に体を拭き、髪も乾かさず、ゲームチェアを買ったホームセンターでひとつだけ妙に安かったシングルベッドに倒れ込む。今メキッて音が聞こえたけど大丈夫、問題ない。

 さあ、おやすみ俺、朝だけど。














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