新たな拠点③

 そして今まさに、その神聖な領域に全ての従者が足を踏み入れていた。

 拠点の完成を祝し、玉座の間には全ての従者が集い跪いている。

 拠点拡張の際に黒曜石や大理石、様々な鉱石が見つかったこともあり、玉座の間は美しい黒曜石で出来ていた。


 天井には宝石を散りばめた煌びやかなシャンデリアが等間隔に吊るされ、その光は黒曜石に反射して幻想的な光景を生み出している。

 入口から玉座までは見るも鮮やかな真っ赤な絨毯が敷かれ、その横には黒曜石の柱が規則正しく並んでいた。

 数段高い場所に置かれた玉座は上質な木材を用いて重厚な作りになっており、肘掛ひじかけや背凭せもたれには金糸、銀糸の刺繍が施された最高級のクッションが使用されていた。

 椅子を縁取るように、宝石や金細工で豪奢な装飾が施され、それが眩いばかりに輝いている。


 従者たちが見守る中、レオンはメニュー画面から拠点画面を開き、新たな拠点申請をしていた。


【この場所を新たな拠点にしますか?】


 レオンが【はい】を選択すると、不可視の波紋が広がり洞窟内を覆っていく。

 これはゲームの頃と変わらない仕様である。拠点として相応しいか、他に占有者がいないかの審査であり、これに合格することで新たな拠点として認められる。

 程なくしてメッセージが現れた。


【新たな拠点として認められました】


 レオンはメッセージを確認して拠点画面に視線を移す。

 そこには洞窟入口から最奥のレオンの寝室までが拠点として登録されていた。


 レオンは鷹揚に頷き、跪く従者に視線を落とす。


「ご苦労であった。お前たちの献身的な働きにより、ここに新たな拠点が誕生した。改めて礼を言う。お前たちの働きに感謝する」


 アインスが従者を代表して口を開いた。

 その表情は喜びに満ち溢れ、今にもレオンに抱きつかんばかりである。


「なんと勿体無いお言葉。我ら従者は今後より一層、レオン様に忠誠を誓うことをお約束いたします」


 アインスの言葉が終わると示し合わせたかのように他の従者が声を揃える。


「レオン様に絶対の忠誠を誓います!!」


 その言葉を聞いてレオンは満足気に頷き返した。


「うむ。お前たちの忠誠心嬉しく思う」


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