異変⑥

 レオンは従者に命令を下し自らのメニュー画面を操作した。

 レジェンド・オブ・ダークには年齢という概念がある。

 年齢により僅かではあるがステータスも増減するため、自分の職業に合わせて年齢を設定するプレイヤーも多い。

 年齢が20代では魔力が低下する代わりに物理が上昇し、40代以降は物理が低下する代わりに魔力が上昇する。10代ではステータス増減の恩恵は受けられない。

 戦いの庭園バトルガーデンのギルマスであるコタツは魔法職を取得している。彼が老人の姿をしていたのは、魔力上昇の恩恵を最大限受けるためだ。

 尤も、最大限の恩恵と言っても微々たるもの、多くのプレイヤーは見た目重視で年齢を決めている。

 く言うレオンも、見た目重視で年齢は20代に設定していた。


 レオンはステータス画面を開いて自分の年齢を確認する。

 横にあるタグが固定ホールドになっていることを確かめると、納得をしたように頷いた。

 プレイヤーと従者は、現実の世界と同じように歳を重ねる。

 普段の生活の延長として受け入れるプレイヤーもいたが、年齢の経過によるステータスの増減を嫌うプレイヤーも多くいた。そのため、いつでも年齢の経過を止めることができるように、予めシステムに組み込まれていた。

 操作は簡単で、ステータス画面を開き、年齢経過を固定ホールドにするだけである。それだけで年齢は固定された。

 再び年齢を経過させる場合には、経過アクティブを選択するだけの簡単操作だ。


 次にレオンは従者の管理画面を開き、同じように年齢が固定されているか確認を行う。

 尤も、年齢が経過しても年齢操作エイジコントロールの魔法で自在に年齢を変えることはできた。

 しかし、今は想定外の非常事態。魔法が正常に発動しないことも考えられる。

 そのためレオンは出来る限りのことを行う。

 このままログアウトできないという最悪の事態に備えて……


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