異変③
レオンの作ったアインスは内政に特化した仕様になっている。
主に拠点の維持コストを下げたり、他の従者を効率よく動かすための職業を取得させていた。
見目麗しい女性で、真珠のような銀色の長髪に琥珀のような黄金の瞳、透き通るような白い肌を覆うのは清楚な純白のドレス。長身の小顔で当然のように目鼻立ちも整っている。
申し訳程度の黄金の装飾品が、より一層アインスの美しさを際立たせていた。
(こうして改めて見るとアインスは綺麗だな。まぁ、アインスに関わらず、従者の女性は全員俺の好みが反映されてるから、綺麗だと思うのは当然なんだけど)
レオンが従者に見とれていると、返答がないことにアインスは表情に影を落とす。
「あの、レオン様?私が何かご不快にさせるような発言をしたのでしょうか?」
(ん?どうしたらいいんだろう……。普通に話しかけていいのか?)
「いや、そんなことはない。なぜこの場所にいるのかは私にも分からないが、恐らくアップデートによる不具合だろうな」
「アップデート?でございますか……」
「まぁ、お前には分からないだろう。暫くすれば復旧するだろうから、それまで暫し待て」
「はい……、お役に立てず申し訳ございません」
アインスは跪いたまま顔を伏せて視線を落とした。
何処とない悲しそうな仕草に、その場の空気が重くなる。
(なんだこれ?もしかして感情もあるのか?普通に会話が出来るだけでも凄いのにどうなってるんだ?)
それからレオンはログアウトや運営への連絡を幾度となく試みるが、一向に改善する様子がない。
痺れを切らせたレオンは外に出て様子を見ることにした。初期の拠点に窓はなく外の様子を知ることはできない。
だが、拠点のある場所は見なくても分かる。最初の拠点は必ず王都の街中にあるからだ。
(まいったな。外に出て様子を見るか。もしかしたら同じ境遇のプレイヤーがいるかもしれない。情報の交換が出来れば、この状況も変わるかもしれないからな)
「外に出て様子を見る」
「では、私たちもお供いたします」
レオンの言葉に当たり前のようにアインスが返答する。
こうして見るとプレイヤーにしか見えない。
レオンが歩き出すと、その後ろをアインスたち従者が付き従う。その光景にレオンは何処となく違和感を感じていた。
(なんだこの感じ?何かがおかしい……)
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