プロローグ③
そして、ここにも元ソロプレイヤーがいた。
レイドの討伐難度の高さに、早々と仲間を見つけてソロプレイを諦めた男が。
男の名は小林
既に玲音の家族は全員他界し、玲音は一人寂しく暮らしていた。
気を許せる友人がいるわけでもなく、自宅と会社を往復する毎日。
独り身の玲音はいつしかMMORPGで寂しさを紛らわすようになっていった。ゲームの中では友人と呼べる仲間も作ることが出来る。
実際に会ったこともないゲームの中だけの友人、それは友人ではないと笑う者もいるだろう。
だが、玲音にとってはゲームの世界が全てであり、自分の人生と言っても過言ではなかった。
そんな玲音がレジェンド・オブ・ダークに出会うのは必然である。
レジェンド・オブ・ダーク。
このゲームが宣伝されると同時に、事前登録プレイヤーには抽選で総額三千万円分のポイントが当たるキャンペーンが実施されていた。
レジェンド・オブ・ダークが正式リリースされた日。
玲音は会社から帰宅し、いつものように手早く食事と風呂を済ませた。
心待ちにしていたレジェンド・オブ・ダーク。玲音は椅子に深く腰を落とし背もたれに寄りかかる。
既にベータ版を体験済みの伶音は手馴れたように端末を繋げた。
ベータ版のデータがそのまま引き継がれるため、玲音はキャラメイクをする必要がない。
ゲームの中に入り、玲音はもう一人の自分、レオンになる。
自分の本名をそのまま使うなど安直と思われるかもしれない。しかし、玲音にとってMMORPGは自分の生活の一部である。
そのため自分の名前を使うことになんの躊躇いもなかった。
アバターも自分に近づけるため、黒髪のショートカットに黒目と至って普通である。顔を少し美化したのは言うまでもない。誰だって自分の容姿は不細工よりも綺麗な方がいいに決まっている。
レオンは画面の指示に従いゲーム画面に入ると、直ぐに運営からの伝言に気がついた。
【おめでとうございます。抽選で特賞、一千万円分のポイントが当たりました】
初めは何かの冗談かと首を傾げたが、メニュー画面を開いて目を見開いた。
課金で入手するポイントが有り得ない桁になっている。一千万円分のポイント、一千万ポイントが振り込まれていたからだ。
レオンは大々的に宣伝していたガチャの画面を開いた。
まだ、始まったばかりのゲームであるため、ガチャは
当たりとして表示されているのは可愛らしい
そして従者は
可愛らしいキャラに心が揺れ動くも、レオンはガチャを回さずに画面を閉じた。
レオンは堅実である。例え幾らポイントがあろうとも今はガチャを回したりはしない。
今までレオンはこの手のガチャを散々回してきた。
ガチャの内容はより良く更新されていくため、リリース当初のガチャを回しても旨みは少ないと感じたのだ。レオンは後々のためにポイントを温存することを決める。
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