第214話 山椒


 ミカン科サンショウ属 落葉低木


 卵かけご飯などにホール(粒)を数粒ちらして食したり、パスタや丼、しぐれ煮など数多の料理と相性が良いが、ホールは高く、安く済ますには


 実山椒:5~6月頃が旬でこの時期にホール、枝付きの粒が手に入り安いので、手間はかかるがそれらを加工したり、冷凍して任意の時期に味付けすることで好きなときに食べることが出来るが、加工品は常に販売しているので手間と釣り合うかどうか



 ミカン科に属しており、果実や葉などに特有の香りがあり、噛むと舌が痺れるような面白い辛みが特徴である


 一般的に調味料としてよく用いられる「粉山椒」は、完熟した果実の外皮を乾燥させて粉末にしたもの、こちらでも代用可能ではあるが、風味が落ちやすく、また、実だからこその食感が味わえないなど料理によって使い分ける方が良い


 日本国内では同属のアサクラサンショウが主に栽培されている(トゲがなく果実が大きい)



 LD50 (ある物を食べたり飲んだりしたときに、100匹の動物のうち50匹が死んでしまう量) 

 山椒の実や葉に含まれる辛味成分であるサンショオールは一応毒


 この一応というのは、ラットでおよそ2,000~5,000 mg/kgと常人では不可能な量である為である


 体重70kgの大人の場合

 2,000mg/kg → 70kg × 2,000mg = 140,000mg(140g)

 5,000mg/kg → 70kg × 5,000mg = 350,000mg(350g)


 体重1kgあたり2~5gの量で半分の動物が死んでしまう毒性の強さである


 それでも胃が弱かったり、アレルギー反応が高い人は胃腸障害や痺れ、神経系への影響が出る可能性がありえる為、そういった人は多量に食べるのは控えたほうが良い、そもそも大量に食べられないが……



 

 非常に長い


 日本国内においても、縄文時代の土器に付着している


 日本書紀 

 657年 「山椒埋矣(山椒が埋もれるごとく)」と記されている


 720年頃 山椒(当時はハジカミと呼ばれていた)が「痺れるような感覚で、敵の攻撃を忘れない」と記されている


 古事記(712年)の歌謡「みつみつし 久米の子等が 垣下かきもとに 植ゑし波士加美ハジカミ 口ひひく われは忘れじ 撃ちてし止まむ」


「みつみつし 久米の子等」

「みつみつし」は「甘く親しげな」という意味。

「久米の子等」は久米部(軍事に関わる部民)の若者たちを指す。


「垣下に 植ゑし波士加美」

「垣下に植えたハジカミ」はショウガや山椒など、辛味のある植物を指し、比喩として使われています。


「口ひひく」

「口がひりひりする」様子を表しており、ハジカミ(辛味)による痛みを比喩的に使っている。


「われは忘れじ 撃ちてし止まむ」

「私はこの恨みを忘れない。攻撃してやめない(必ず報復する)」という決意を表している。


 延喜式、平安時代905~927年 紀伊国秦椒三升とあって、山椒が貢納されている (紀伊国は現在の和歌山県、秦椒は山椒のこと)


 室町時代 成立年不詳(1336~1573?)大草家料理書 

 うなぎの蒲焼きに山椒の粉をふりかけることが紹介されている※1


 江戸時代の料理書 料理伊呂波いろは包丁 三巻(1773年)刊には、「焼大根 ごま さんせうさんしょう」のあえ物が出てくる


 縄文時代よりも前から利用されていたかも知れない。縄文時代だとしても随分と長い歴史のあるスパイスである

 中国の「魏志倭人伝」によると、紀元3世紀頃の日本には山椒が山に自生してたことが記されている


「有薑・橘・椒・蘘荷、不知以爲滋味」 大雑把に言えば

しょうが」「みかん」「さんしょう」「蘘荷みょうが(或いは生姜の一種、またはゼンマイなどの香草)」を並べ、これらの植物の風味や滋味じみが知られていない

 滋味 うまい味わい。滋養の多い食物。


 このことから魏人にとって一般的だったサンショウなどの香辛料が自生しているのにも関わらず、当時の倭人は積極的に食していないことが伺える


 中国のように医食同源のような効能などを知るのは701年の養老令が出された頃には、中国の医薬書である『神農本草経集』などを通じて知っていたのはないかとされる


 

 https://x.gd/J2JKt


 実がない 


 サンショオール

 痛みや熱感を和らげる鎮痛作用が期待されており、神経感覚を調整する効果があるとされ、消化促進や血流改善効果も報告されている


 精油成分

 シトロネラール 精神を落ち着かせる。細菌や真菌の増殖を抑える効果


 ジテルペン 抗酸化作用・免疫強化


 フェランドレン 抗炎症作用・リフレッシュ効果


 ゲラニオール 抗菌・抗酸化作用


 などの成分が含まれている ほぼ香りではあるが、一番多いのはサンショオール


 

 健胃・整腸・利尿・駆風くふう(ガス抜きやのどの痛みを改善する)・食欲不振・胃下垂いかすい(胃の下部が本来の位置より垂れ下がっている状態)消化不良・回虫駆除


 

 蕎麦・すき焼き・焼き鳥・刺し身(特にサバやイワシ)・鰻の蒲焼・鶏の唐揚げ(揚げ物全般)・ちりめん山椒・山椒塩 などである


 が、これらはあくまで定番


 現在は バニラアイス・ビール(試すのも良いが、一応検索していると売っている)・バター・ジンジャエール・チョコ・ポップコーンなど現代のさまざまな食品や飲料に使用されており、今後も増えると思われる



 

 山椒は雌雄異株であり、実を収穫するには雌株と雄株の両方を育てる必要がある


 3~4月に採れる若葉を「木の芽」とよぶ。若葉は香りが良く、そのまま料理の飾りとして使われたり

 味噌に擦り混ぜて木の芽味噌とし、たけのこ、いかを和え、焼いた豆腐にのせて木の芽田楽として食べる


 サンショウウオ

 北大路魯山人きたおおじ ろさんじんの話が有名である

 https://x.gd/qq0dn 青空文庫短縮URL 

 青空文庫でも読める


 山椒と花椒の違いは簡素にまとめて以下の通りである

 どちらもミカン科サンショウ属の植物ではあるが


 1. 原産地と呼び名

 山椒 日本原産 主に日本の気候に適した植物で、「日本山椒」とも呼ばれる

 花椒ほあじゃお中国原産 四川料理や中国料理など最初に炒った物を粉末にして仕上げにかけたりする「中国山椒」や「ホワジャオ」とも呼ばれる


 2. 香りと風味

 山椒 爽やかでさっぱりとした柑橘系の香りがありピリッとした刺激はあるものの、花椒に比べて穏やか

 花椒 より強い痺れ(麻味)と独特な風味があり香りは山椒よりも複雑で刺激的である


 3. 用途

 山椒 うなぎの蒲焼や鍋料理など、日本料理の調味料として使用。

 実や葉も使われ、特に若葉(木の芽)は香り付けに重宝される

 花椒 麻婆豆腐や火鍋などの四川料理に欠かせない調味料。「麻辣(マーラー)」と呼ばれる痺れのある辛さを生む要素。


 4. 見た目

 山椒 実が小ぶりで、色は緑がかったものが多い。

 花椒 実がやや大きめで、乾燥させると赤みが強い。




 ビールやバター、ポップコーンは試してもいいかもしれない


 山椒は小粒でもぴりりと辛い




 ※1 大草三郎左衛門公次きんつぐが足利義光の料理人として仕えていた。


 大草三郎左衛門公次はこの大草流(食儀礼(日本料理)及び礼式の流派の一つ)の発祥と思われている人物で、この本は室町時代の武家の食文化を知ることができる史料である

 包丁の持ち方構え方から始まる全59カ条と「浄請物之覚じょうせいもののさとり」が6カ条。そのうち味噌を使う料理は計12カ条

 室町時代には少なくとも武家では味噌が調味料として使われていたことがわかる史料


 浄請物之覚 主に魚介類の下ごしらえや調理法について詳しく解説されている

 魚の種類ごとの洗い方、塩や酢を用いた臭みの取り方、さらには刺身や焼き物、煮物などの調理方法が記載されている

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