第9話 七面鳥のような少年
ある雨の日の真夜中———…
仕事で帰りが遅くなってしまった私の叔父さんが、暗く細い田舎道を車で通りかかった時の話です。
外灯も少ないその細道で、しばらく車を走らせていると、ふと道の端に小学生のような男の子が佇んでいるのが見えてきたそうです。
時刻は真夜中…
しかも雨の中だというのに、何故かその子は傘をさしていません。
そればかりかその子にだんだんと車が近づいてくるにつれて、真っ白なシャツにランドセル、そして妙に鮮やかな黄色い帽子がやたらと目に入ってきました。
「…こんな真夜中に小学生がどうしたんだろう?」
そんな風に思いながらも、車を徐行させながら、ゆっくりとその子の横を通りすぎようとしたその瞬間———…
…パシャン…
車の中に、水を弾くような音が響き渡りました。
「…まずい!水を掛けてしまったか!?」
そう思った叔父さんが助手席の窓越しにその子の方を振り返るとそこには…
まるで七面鳥の料理のように奇妙な形で両腕を小さく胸元で折り曲げ、虚ろな表情で空をジィっと見上げている少年の姿がありました。
「…ひぃ…!!」
その異形な格好と表情、そしてその少年の異常な青白さから、すぐにこの世のものではないと悟った叔父さんは、一気に車を加速させました。
車で走り去る瞬間、叔父さんがルームミラーでその少年のいた場所を確認した時には、その子の姿はなかったそうです。
…あの子は一体、何者だったのでしょうか。
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