第5話 な・り・す・ま・し


オカルトとはちょっと違うんですけどな。


昔、従兄弟が

ハムスターを飼っていたんだけど


ある時期から、

飼っていたハムスターが

ケージの中に入れてある

小さな家の中に閉じ籠って

あまり顔を出さなくなった。


でも朝と夕方に準備しているエサは

きちんと毎回食べてるし、

良く見たらその小さな家の中で

ちゃんと動いてるみたいだったから

従兄弟は


『寒くなったせいで

小屋から出たくないのかな?』


と思って特に深くは気にしなかったそうな。


そんなある日、

いつものように軽くケージの外だけを掃除してハムスターのエサを取り替えていると、


ハムスターが暮らしている

小さな家の中からチラリと

しっぽのような物が見えた。



…ん?


しっぽ…?



いやいや!

ハムスターにそんな長い

しっぽなんてないし!!


そう思って驚いた従兄弟が

ハムスターの小さな家の屋根を

無理矢理こじ開けてみると

そこにいたのは…


家主であるハムスターを殺して

そのハムスターになりすましたまま

何日も小屋の中でエサをもらい続けていた

ネズミの姿が…。


飼われているハムスターを殺して

自分がそのハムスターになりすます…


なんて恐ろしくて

そしてとても可哀想な

本当にあったなりすましのお話。

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