第3話 街に住む怪物

この街は

眠らない街と言われてるらしい

街に眠る眠らないという

概念があるのかどうか疑問だが

確かに眠ってるように見える瞬間は

ほとんどない

昼間は太陽に照らされ

夜間はきらびやかなネオンが彩る

ビルは高くそびえ

空も遠く感じる

きらびやかなネオンは

夜を楽しみたい

大人たちを呼び込む

客引きに注意しろという訴える

スピーカーの真下で

客引きをしてる男がいる

彼は目の前を通る人たちに

かたっぱしから声をかけていく

無視されても彼は

へこたれない

次の人へと声をかける

仕事熱心だ

話を聞いてくれる相手に

出会えても

相手は

客引きの連れていきたい店まで

来てくれない

元気いっぱいに

満面の笑顔で

サービスするからと

甘い言葉をかけている

過ぎ行く人々は知っているのだろう

だから相手にしないのだ

彼が誘うその店が

どういう店かを知っている

彼が囁く

甘い言葉に乗ってしまうと

自分の首を絞めることになると

新入りを食らおうとする怪物が

この街には住んでいる

知識無き者は

余すことなく食される

無情な街さ

平気な顔で怪物を飼っている

きっとそこに人は魅力をみるのだろう

だから絶えず足を踏み入れるのだ

怪物を拝みに

足を踏み入れた中には

怪物の術中の中の者もいるだろう

これから飛び込む者もいるだろう

ああ恐ろしきは

街を彩るネオンではなく

ネオンを彩る

憐れな人か

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