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「いやーそこの人が本当に気さくな人でさ、良くしてもらえてよかったよ」
「今回は追い剥ぎなんてこと、なかったんですね。良かったです」
「いや、無かったわけでもないんだけどね」
「えぇっ!? 大丈夫だったんですか」
「もう慣れっこだよ」
そんな慣れはいらない! と思いつつも世界中を飛び回っているのだから、いつ危険な目にあっても仕方ないのかな、なんて。俺も高見さんの話を聞いて麻痺しているのかも?
「でもそのおかげで良い写真も撮れるわけだし」
そのおかげではない気もする、けども。
「今回も素敵なお写真が撮れたのですね」
「今回は、ね」
「今回は?」
苦笑いともハニカミとも取れる表情で高見さんが言う。
「その時の運命だからね。良かったら写真観るかい?」
「もちろんですっ!」
つい身を乗り出して食い気味に言ってしまった。仕方ないじゃないか。
高見さんは口角をググッと上げて、タブレットを鞄から取り出し手早く操作をする。
「写真は一杯あるんだけどな、ちなみにお気に入りはこれ」
そう言って見せられたのは、画面いっぱいの青だった。空と海、様々な青色が互いに主張しつつも美しく写真の中を彩っている。この目では見たことのない、宝石のような空間がそこに在った。
「・・・美しいですね」
「こんなに壮大な美しさは自然界にしかない気がするねぇ」
カロン、と氷を鳴らした高見さんがひっそりと微笑んでいた。美しさは、確かにこの世に存在しているのだ。
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